SNS時代を映す話題作が上陸『#彼女が死んだ』
『#彼女が死んだ』 1月10日(金)シネマート新宿ほか順次公開
今回紹介する、『#彼女が死んだ』はサスペンス・スリラー。この手の作品はあっという間に犯人の予想ができてしまうことが多く、期待値低めでの観賞だった。
良い意味で予想を裏切ってくれた本作。前半は犯人が全くわからない。かといって、全く登場していなかった謎の人物が犯人でもないところに好感を持った。さらに、犯人がわかってからの後半戦は犯人の本性が出てきて本当に悪いやつに変貌していくところが見どころとなっている。
顧客が預けた鍵でその家に入り、他人の人生を盗み見る趣味を持つ不動産公認仲介士のク・ジョンテ(ピョン・ヨハン)。ソーセージを食べながらビーガンサラダの写真を投稿するSNSインフルエンサーのハン·ソラ(シン・ヘソン)に興味を持ち、観察し始める。ついにハン·ソラの家に入ることに成功したク·ジョンテはある日、彼女がソファーで死んでいる姿を発見することになる。その後、彼がソラの家に出入りしたことを知る何者かが脅迫を始め、事件を担当する強力班刑事オ·ヨンジュ(イエル)の捜査網が彼に向かって迫ってくる。濡れ衣を晴らすべく自ら犯人を探さなければならないク・ジョンテは、ハン・ソラのSNSを通じて周辺の人物をあたりながら真犯人を探しに出るが...。
本作、主人公のハン・ソラは有名インフルエンサーということで、憧れる人もたくさんいる中でアンチも少なからずいた。有名になるということは誰からも好かれるわけではない。現代のSNSの怖いところはどこにいたのか?や、その人の生活している場所などの特定ができてしまうところにある。
DMなどを使って連絡をとることも可能だ。その気になれば誰にでも有名インフルエンサーと知り合いになれるチャンスがあるのかもしれない。SNSやインターネットの正しい使い方を学んだことのある人は少ない。とても便利だけれどその中にある恐怖が浮き彫りになる作品だった。
また、容疑者となるク・ジョンテはハン・ソラを殺していないにしろストーカーをしていたのは事実。だけど、そのことはなかったかのように動き回っている。そこに違和感を覚えながらも彼は殺人犯ではなく、真犯人が知りたい心理からだんだん彼の罪は薄まって見えてきていた。
鑑賞後にずっと残っていたのは女性警察官が言った台詞。『今に分かります。あなたが自分の人生になにをしたのか』。やってしまったことは自分の中にずっと残る。すごく奥の深い台詞だったように思う。
本作、全世代が楽しめるだろう。そして今一度考えてみてほしい。
自分の言葉を信じてくれる人は誰なのか? 誰の言葉を自分は信じられるのか?
人間関係の中にある本質とSNSとの付き合い方に警鐘を鳴らす良作だった。
(文/杉本結)
『#彼女が死んだ』
1月10日(金)シネマート新宿ほか順次公開
監督:キム・セフィ
出演:ピョン・ヨハン、シン・ヘソン、イエル、ユン・ビョンヒ、パク・イェニ、
シム・ダルギ、パク・ミョンフン
配給:クロックワークス
原題:그녀가 죽었다 英題:FOLLOWING
2024/韓国/103分
公式サイト:https://klockworx.com/movies/following/
予告編:https://youtu.be/jIiZSkgBPEY
© 2024 NGENE FILM ALL RIGHTS RESERVED