もやもやレビュー

スティーブン・スティルバーグ製作で贈る芸者の厳しい世界『SAYURI』

SAYURI [Blu-ray]
『SAYURI [Blu-ray]』
チャン・ツィイー,渡辺謙,ミッシェル・ヨー,役所広司,桃井かおり,コン・リー,ロブ・マーシャル
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2005年に公開され、チャン・ツィイーやミシェル・ヨー、コン・リーら人気女優が華やかな芸者を演じ話題となった映画『SAYURI』。製作にはスティーブン・スピルバーグが名を連ね、監督は『シカゴ』『NINE』などで知られるロブ・マーシャル。原作はアーサー・ゴールデンの世界的ベストセラー小説「さゆり」です。

物語の舞台は昭和初期の日本。貧しい家庭に生まれた少女・千代は、置屋に売られ、過酷な芸者修行の日々を送ります。人気芸者・初桃(コン・リー)からのいじめに耐えながら、離れ離れになった姉を探す幼少期。そんな絶望の中、偶然出会った会長(渡辺謙)から優しくされたことで、彼への憧れと再会の願いを胸に抱くようになります。その後、芸者・豆葉(ミシェル・ヨー)の助けを得て、千代はやがて「さゆり」という名前で一流の芸者へと成長していきます。

本作は、日本を舞台にしているにもかかわらず、主要キャストが日本人ではない点で批判を受けました。着物の着付けや髪型、舞踊、座敷遊びなどの描写についても「本物の芸者とは異なる」との指摘が相次いだよう。さらに、映画の舞台である時代は日中関係が緊張していたため、中国では上映が禁止されるなど、国際的にも物議を醸しました。

それでも見どころは、何といっても千代が「さゆり」へと変貌を遂げていく過程。特にミシェル・ヨーが演じる豆葉は、さゆりを優しく導く存在であり、その美しさと気品ある佇まいに圧倒されました。彼女は近年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でノーメイクかつ体当たりの演技を披露し話題となりましたが、『SAYURI』では一転、伝統衣装に身を包み、美の象徴として観客を魅了しています。

ちなみにIMDbによれば、チャン・ツィイー、コン・リー、ミシェル・ヨーの3人は撮影前に6週間にわたり、芸者文化に関する特訓を受けたのだとか。音楽、舞踊、茶道といった伝統芸能の修行を通じて、芸者としての所作や精神を学び、役に挑んだようです。日本文化を完全に再現しているかは議論の余地があるものの、女優たちの努力と美しさは、スクリーン上で鮮やかに表現されていました。

(文/トキエス)

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