天才詐欺師が仕掛ける予測不能な税金徴収ミッション『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』 11月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
ワンカット撮影のゾンビものかと思いきや、観る者を見事に裏切る大どんでん返しが話題を呼び、社会現象を巻き起こした大ヒット映画『カメラを止めるな!』(2017)。単館上映のインディーズ映画だったが、急速に上映館を拡大し、異例の成功を収めた。のちに、上田監督は自身のTwitter(現X)上で
「カメ止めは『低予算だから、無名の監督と俳優だから』できた映画です。《無知×無名×無謀=無敵》を生かして繰り出した一回限りの大技です。次は次で違う戦い方を探すのだ!」とコメントを残していた。
ついにその次の戦い方を見るときがやってきた。
税務署に務めるマジメな公務員・熊沢二郎(内野聖陽)。ある日、熊沢は天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)が企てた巧妙な詐欺に引っかかり、大金をだまし取られてしまう。親友の刑事の助けで氷室を突きとめた熊沢だったが、観念した氷室から「おじさんが追ってる権力者を詐欺にかけ、脱税した10億円を徴収してあげる。だから見逃して」と持ちかけられる。犯罪の片棒は担げないと葛藤する熊沢だったが、自らが抱える"ある復讐"のためにも氷室と手を組むことを決意。タッグを組んだ2人はクセ者ぞろいのアウトロー達を集め、詐欺師集団《アングリースクワッド》を結成。壮大な税金徴収ミッションに挑む―。
地面師とはどのような詐欺師集団か知っていますか? Netflixで『地面師』というドラマが流行ったので聞いたことがある人も増えたかもしれない。本当は売りに出されていない土地をさも売りに出されているように装ってその土地の契約金をだまし取る詐欺師集団のことをいう。その集団は様々な専門の役職を持った人たちがチームとなってだましてくるので、その巧妙な手口はドラマとサスペンスの要素がありとても面白い。
私は『正直不動産』というドラマで地面師という詐欺集団がいることを知った。緻密で巧妙な手口で大金を騙し取ろうとすることはもちろん犯罪なのだが、これはフィクションとして楽しむと本当に面白い題材なので次々と作品が生まれてきている。社会が発達して警備も厳しくなっているはずなのに、その隙間をすり抜けるかのように行われる完全犯罪。私たちが本来見ることの出来ないような世界の裏側を見られるとしたら興味がわいてきませんか?
ほんの少し、映画を見ている時には詐欺師集団の仲間になった気持ちになっている。詐欺は悪なのにどこかで成功を応援してしまっている時がある。そんな気持ちになるようにうまく作られた作品だった。全体を通して監督にうまくやられた。監督の新しい戦い、挑戦はカメ止めとはまた違った角度から観客を楽しませてくれた。だまされることを楽しんで映画をみてほしい。
(文/杉本結)
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『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
11月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
監督:上田慎一郎
出演:内野聖陽、岡田将生、川栄李奈、森川葵、後藤剛範 ほか
配給:NAKACHIKA PICTURES
2024/日本映画/120分
公式サイト:https://angrysquad.jp
予告編:https://youtu.be/W5FmAgVaeoY?si=GoqFLZ_rfsn2EWb8
©️2024アングリースクワッド製作委員会