もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2024年11月号

『ドリーム・シナリオ』(11/22公開より)

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』三十九回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
11月公開の映画からは、この四作品を選びました。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(11月01日公開)
公式サイト:https://www.venom-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/9WrMfQ1liWY

メイン_トリミング_Orwell_HiRes_Fr_20.jpg ソニーがスパイダーマンに関連するマーベル・コミックの様々な作品を原作にした新しいシェアード・ユニバースを「ソニーズ・マーベル・ユニバース」といい、その第一弾と第二弾、そして第五弾となるのが『ヴェノム:ザ・ラストダンス』。今作が「ヴェノム」シリーズ最終章となる。
 ジャーナリストのエディに地球外生命体シンオビートが寄生して誕生したヴェノム。予告編冒頭では刃物を持った男たち四人に襲われていますが、エディの顔半分を残して他はヴェノムになった姿で「オレ...たち......ヴェノムだ」と二人が同時に話している姿を見ることができます。三作目にしてかなりこのコンビも馴染んできたようです。また、「仲間たちが地球に来る」というヴェノムの声と地球にたくさんのシンオビートたちがやってくるという映像もあります。
 ここからは妄想です。最終章で「ラストダンス」となれば、やはりエディに寄生したヴェノムとの別れが描かれるのでしょう。地球にやってくるヴェノムの仲間たちと一心同体になった彼らは戦うはずです。仲間たちを抑えこむにヴェノムは彼らと合体していき、最後にはすべてのシンオビートを葬り去ろうとする終わりもありえそうです。あるいは、エディを宿木にしてヴェノムの仲間たちが合体して最強のシンオビートとなって地球を滅ぼすというラストも少し観てみたいです。

サブ1_Orwell_HiRes_Fr_04.jpg

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』
11月1日(金)全国公開
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
Filmed for IMAX®/Dolby Cinema®/Dolby Atmos®/ScreenX with Dolby Atmos®(全て字幕版のみ)
2D/MX4D®/4DX/ULTRA 4DX/ScreenX(字幕版/日本語吹替版)

『本心』(11月08日公開)
公式サイト:https://happinet-phantom.com/honshin/
予告編:https://youtu.be/nsddUYTSAK0

『本心』:メイン写真.jpg 平野啓一郎の長編小説を石井裕也監督が映像化。
 仮想空間上に「人間」を作るVF(ヴァーチャル・フィギュア)開発者の野崎(妻夫木聡)に朔也(池松壮亮)が「母を、作りたいんです」と伝えている場面から予告編が始まります。また、母は自由死を選んで亡くなっていたことも明かされます。
 母の親友だったという三好(三吉彩花)の協力もあり、データが集まったことで野崎がVFの秋子を完成させる。朔也と三好がVFゴーグルをつけて復元された秋子とやりとりしている近未来的な映像も見ることができます。
 ここからは妄想です。予告編では秋子が「あの子には話せないことがたくさんあった」と言いうセリフや、知らなかった母の一面を知ることで朔也の感情がどんどん乱されていくようです。
 なぜ母は自由死を選んだのか、そのことがわからずに、理解しようとしてVFで母を蘇らせた朔也ですが、母が隠していたことはなんなのでしょうか? もしかすると朔也は母が誰かから誘拐した子どもかもしれませんし、あるいは血の繋がりがないという秘密があるかもしれません。もしかすると朔也がクローンかもしれません。
 あるいはこの世界においてはVFで作られた人たちが本当は実存する人間で、それ以外の朔也たちの方が実はヴァーチャルな存在というすべてが反転するようなラストかもしれません。

『本心』:場面写真(サブ①).jpg

『本心』
11月8日(金)より全国ロードショー
ハピネットファントム・スタジオ
© 2024 映画『本心』製作委員会

『ドリーム・シナリオ』(11月22日公開)
公式サイト:https://klockworx-v.com/dream-scenario/
予告編:https://youtu.be/JtXjWEuWvm8?si=-QbHGsPMqPO_3bH0

DS_メイン.jpg A24と『ミッド・サマー』を手掛けた奇才アリ・アスターが製作でタッグを組み、『シック・オブ・マイセルフ』で長編デビューを果たしたクリストファー・ボルグリが監督を務めた『ドリーム・シナリオ』。
 ある日、大学教授のポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)は「あなたが何度も夢に出てきたの」と中年の女性から声をかけられます。その女性だけでなく、何百万人という人々の夢の中にポールが出現するという現象が起きており、彼は一躍有名になる姿を予告編で見ることができます。
 しかし、ある日を境に、夢の中でのポールは人々に対して様々な悪事を働くようになり、そのことが原因で現実世界で大炎上することという悪夢みたいな日々が始まるようです。
 ここからは妄想です。映画の内容自体が「妄想マックス」みたいな感じもしますが、現実世界では嫌われ者になって炎上しているポールは外に出ると人々の目や文句が怖くてどんどん引きこもるようになり、唯一の救いとして眠りを求めるようになります。
 多くの人の夢の中では悪事を働くポールたちとその悪事を止めようとする正義のポールたちが現れて終わらないバトルが始まります。みんなは夢の中でポールだらけの光景を見て、どんどん眠れなくなってしまい、最終的には現実世界でポールの家を襲撃して彼を殺してしまうというバッドエンドではないでしょうか?

DS_サブ1.jpg

『ドリーム・シナリオ』
11月22日(金)公開
配給:クロックワークス
© 2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

『正体』(11月29日公開)
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/shotai-movie/
予告編:https://youtu.be/WOTyCcO1MZU?si=xPvRP2qqFPq1id_p

ベンゾー.jpg 日本だけでなく、アジア各国でも大ヒットした『青春18×2 君へと続く道』などを手掛けた藤井道人監督が染井為人の原作小説を映画化した『正体』。
 凶悪な殺人事件の犯人として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走。日本中を潜伏しながら逃走を続ける鏑木、自分の正体は偽りながらも交流を深めていく沙耶香(吉岡里帆)たちの間に絆のようなものが生まれているのが予告編を見るとわかります。
 しかし、鏑木を追う刑事の又貫(山田孝之)が近づく度に彼の偽りの大切な日々は崩壊する。又貫に対して彼が「ちゃんと調べてください!」という言葉があり、彼が逃げている理由はそこにありそうです。
 ここからは妄想です。鏑木が顔を変えながら、出会った人たちと一緒にいたいという気持ちを捨ててでも逃げている理由はやはり真犯人が他にいて、彼はその人物を知っているからではないでしょうか?
 鏑木は誤認逮捕されており、警察も引けなくなって彼に全ての罪を被せてそのまま死刑にしてしまおうと思っているのかもしれません。だとすれば、彼の目的は真犯人に辿り着いて、その人物を見つけ出して警察やメディアに突き出そうとしているのでしょう。人間のアイデンティティは他者との関係の中で作られます。逃げ続ける鏑木は自分が誰なのかわからなくなってしまったという切ないラストが待っているのではないしょうか?

鏑木(高校生).jpg

『正体』
11月29日(金)全国公開
配給:松竹
© 2024 映画「正体」製作委員会


文/碇本学

1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム