下手な奇祭よりも男性器ばかり出てくる『バニー・ザ・キラー』
- 『バニー・ザ・キラー [DVD]』
- エンニ・オユトカンガス,ヤリ・マンニネン,オーウィ・マニー・アメフ,ヴェーラ・W・ヴィロ,ローペ・オレニウス,マッティ・キヴィニエミ,ヨーナス・マッコネン,エンニ・オユトカンガス
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下ネタ乱発であまりの下品さに思わずドン引きしたが、そもそもB級映画に上品も下品もないので好き嫌いが非常に分かれる作品かと思われる。酒でも飲んでいい塩梅に酔っ払った状態で視聴したらゲラゲラ笑うだろうがシラフで視聴すると「えぇ......」という困惑に襲われ続ける88分となることだろう。下ネタが苦手な人は視聴すると腹を立てる結果に終わるかも知れない。
本作のDVDを販売しているAmazonの説明によると、「ウサギ人間が、次々とカップルを襲う、驚愕のフィンランド產・爆笑・下ネタ・スプラッター・ホラー!!」とある。おおよそ間違いではないが口コミサイトを覗くと笑えないという意見も多く、下ネタの許容範囲が人によりけりのため爆笑できるか否かで本作の感想は大きく変わりそう。
何せ作中に出てくるのはほぼ男性器。男性器で人をぶん殴ったりぶん殴られたりと、フィンランドにも道祖神のような信仰があるのかと思うくらい作品の大半を占める。好んでB級映画を視聴する層には刺さりそうだが、人前で好きだの何だのと公言したら人格を疑われそうだ。
そもそも頭のおかしな博士に捕まったおっさんが謎の注射を打たれてウサギ人間に変身するという荒唐無稽を受け入れられる人間だけが視聴を続けるだろう。そのウサギ人間が山小屋で「プッシー!」と叫んで男性器を振り回して男女問わず貞操と生命を奪っていく映画である。
襲われた人たちは全裸で道路に飛び出し駆けつけたパトカーにはねられフロントガラスに男性器を突き刺し死亡。本作に内容がテーマ性や内容などを求めたら正気を失ってしまうだろう。
主人公と思しき男性3人組は反撃でウサギ人間の男性器を引きちぎり、そのまま頭に突き立てたと思ったら冒頭の頭のおかしな博士に捕まり施設に連行される。手足を縛られた主人公たちは手も足も出ないので男性器で博士の顔を殴打し逃亡する途中で銃を乱射して博士の手下を全員殺害してエンドロールが流れてくる。「俺は何を見せられたんだ?」という感想しか出てこない。酒を飲まない状態で視聴すると面白いもつまらないも判断できないレベルで虚無が押し寄せてくる。酔って視聴したらバカバカしさに大笑いしたのに。
スプラッターではあるがホラー要素を見つけるのはなかなか難しい。というか筆者には不可能だった。血のり満載でグロテスクではあるが恐怖する場面は皆無。終始男性器ばかりなので内容はもっと存在しない。
冒頭で述べた通り、体調と精神状態によって評価は大きく変わるが視聴して何かを得られる作品でないことだけは確かである。
(文/畑中雄也)