子どもとする推し活に感動『ぼくとパパ、約束の週末』
『ぼくとパパ、約束の週末』 11月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
ハリウッド大作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』や『ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE』を押さえてドイツで100万人を動員する大ヒットを記録した『ぼくとパパ、約束の週末』が、ついに日本でも公開されます。
特別な感性を持つジェイソンは、幼い頃から自閉症と診断されていました。生活に独自のルーティンとルールがあり、それらが守られないとパニックを起こしてしまう。ある日、クラスメイトから好きなサッカーチームを聞かれたのに答えることができなかったジェイソンは、ドイツにある全56チーム全部を自分の目で見て好きなチームを決めたいと家族の前で言い出します。
こうして、ドイツ中のスタジアムを巡る約束をしたパパとの週末の旅が始まります。強いこだわりを持つジェイソンは、果たして推しチームを見つけることが出来るのか?
本作では、ジェイソン自身や家族の視点、心境が細かく描かれるだけではなくジェイソンのことを知らない人から見た視点も描かれていました。ジェイソン自身が決めた生活のルールにはとても細かいルーティンがあり、家族はそれを守らなければならない。大変なことも多いけれど優しく寄り添う家族の姿に心をうたれました。
劇中で父親ミルコは仕事が忙しく子どもとの時間を持てないことに悩み仕事を辞めようとするシーンが登場します。このシーン、すごく印象的で鑑賞後もこのシーンのことをふとした瞬間に何度も思い出しました。なんのために私たちは仕事をしているのだろうか? もちろんお金を稼いで家族を養うことが目的だと思います。だけど、そのために家族との時間が犠牲になっているのだとしたら本末転倒です。家族との時間を確保したうえで働くことは出来ないのか模索するミルコの姿は本当に理想のお父さん像でもありました。
そして、子育てをしている筆者が共感できたのは子どもの『推し活』を全力で協力してあげたいという親心です。推し活をしているときの子どもの笑顔は本当に横で見ているだけでこちらも嬉しい気持ちになれるものです。一緒に行ってくれるうちは全力で付き合ってあげることはお互いの絆を深め合い、一生の思い出にもなると思います。
自閉症のことを知らない人にも理解することの手助けになる一作だと思いました。家族の絆の物語、ぜひ劇場でお楽しみください。
(文/杉本結)
『ぼくとパパ、約束の週末』
11月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
監督:マルク・ローテムント
出演:セシリオ・アンドレセン、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、アイリン・テゼル
配給:S・D・P
2023/ドイツ/109分
公式サイト:https://bokupapa-movie.com
予告編:https://youtu.be/-i6DRej_8BE
©2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH