もやもやレビュー

フランス中を震撼させた小児性愛の実話『コンセント/同意』

『コンセント/同意』 8月2日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

まず、今回紹介する本作は実話であることを知って見て欲しい。というのも、50歳の小児性愛作家と14歳のまだ何も知らなかった少女に起こった出来事だからだ。

2020年1月、1冊の本が出版されフランス中が騒然となった。『同意』と題されたその著書は、芸術文化勲章まで受賞した有名作家ガブリエル・マツネフと14歳で性的関係を持っていた女性ヴァネッサ・スプリンゴラからの、いわば告発本だった。
そこに記されていたのは、マツネフが彼女を含む多数の少女たちとの関係を作品の題材として利用した生粋の小児性愛者にも関わらず、その歪んだ行為さえ文学として消費され礼賛すらされてきたという驚くべき実態が生々しく綴られていた。

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本作はその衝撃の実話を元に映画化され、公開されるやいなやフランスでは大きな話題を呼んだ。特に若者たちの反応は凄まじく「今見るべき、知るべき作品」としてSNS でトレンド入りするなど日に日に観客を増やし、公開2 週目から前週を上回る観客数を動員。異例のヒットを記録している。

監督はマリオン・コティヤール主演『マイ・エンジェル』のヴァネッサ・フィロ。家族や女性の在り方といった現代的なテーマを探求する、率直かつエモーショナルな作風で知られる。主人公ヴァネッサ役のキム・イジュランは映画初出演にして、本作の演技でセザール賞女性新人賞にノミネートされた。

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まだ"性"への知識が浅く、人を愛することの意味さえはっきりとはわからない。そんな不安定な年齢である13歳の時にもらった50歳の男性からのラブレター。作家というだけあって、筆が立つ。ロマンティックでどこか魅力的な言葉が並ぶその恋文を何通ももらううちに、少女はこれが恋だと錯覚して身を捧げてしまうのだ。

私を愛してくれる人はこの人しかいない。恋は盲目というがまさにそんな状態になってしまった少女達はどんどん彼にハマっていく。ある種のマインドコントロールに近いようにも感じた。
本作では、性的虐待やパワハラの一部始終を観客は目撃することになる。未成年に対する大人の見守りや教えの大切さは宗教や文化、国という全ての垣根が関係ないと思えるほど共通して尊く、守るべきものであると実感した。

日本でもやっと取り上げられることが増えてきたが、まだまだ対策がはっきりしない苦手な分野でもあるように感じている。だからこそ、本作を見ることで学びは多い。一人一人が知って向き合う機会があっても良いと思った。
難しい題材だからこそ1つの作品として完成したことを高く評価すべきであると感じる一本だ。

(文/杉本結)

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『コンセント/同意』
8月2日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

監督・脚本:ヴァネッサ・フィロ
脚本協力・原作:ヴァネッサ・スプリンゴラ(『同意』内山奈緒美:訳/中央公論新社刊)
脚本協力:フランソワ・フィロ
出演:キム・イジュラン、ジャン=ポール・ルーヴ、レティシア・カスタ、エロディ・ブシェーズ
配給:クロックワークス

原題:LE CONSENTEMENT(英題:CONSENT)
2023/フランス、ベルギー/118分
公式サイト:https://klockworx.com/movies/consent/
予告編:https://youtu.be/2e7U10Cp2K0?si=zxbBTBac4qSj889u
© 2023 MOANA FILMS - WINDY PRODUCTION - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE - FRANCE 2 CINEMA - LES FILMS DU MONSIEUR

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