もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2024年8月号

『ラストマイル』 8月23日(金)公開

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』三十六回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
8月公開の映画からは、この四作品を選びました。

『赤羽骨子のボディガード』(8月2日公開)
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/akabanehonekomv/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=k-H56RKHiOo

★メイン『赤羽骨子のボディガード』.jpg 『週刊少年マガジン』で連載中の学園アクションエンタテイメント漫画を映像化した『赤骨骨子のボディガード』。ある事情から、100億円の懸賞金をかけられている赤羽骨子(出口夏希)、幼馴染でヤンキー高校生の威吹荒邦(ラウール)は彼女を守るためにボディガードとなった。しかし、威吹以外の3年4組の生徒たちも骨子のボディーガードだったことが判明する。
 予告編では骨子を狙っている人物が実は骨子の姉である尽宮正親(土屋太鳳)であることも判明します。
 ここからは妄想です。実は骨子を守っているつもりだった威吹がみんなから守られている。そんなオチもあるのかもと思ったのですが、予告編で骨子の父(遠藤憲一)がクラスに裏切り者がいることを話しているシーンや、姉の正親から「俺と結婚しろ」と威吹が求婚されているシーンもあります。姉妹で尽宮と赤羽と苗字が違うので、やはり家族の中での問題が姉を狂気に駆り立てているのではないでしょう。
 最後は姉をクラス一丸となって倒します。そして、クライマックスではみんなで大学受験のために一丸となって、威吹の成績を上げようと奮闘します。骨子と共に大学生になった彼の前に改心した姉が教授として現れて、敵だった彼女に少しだけ惹かれていく威吹。そこから姉妹の威吹を巡る喧嘩が始まるというのはどうでしょう?

『赤羽骨子のボディガード』
8月2日(金)全国公開
配給:松竹
©丹月正光/講談社 ©2024映画「赤羽骨子のボディガード」製作委員会

『ブルーピリオド』(8月9日公開)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/blueperiod-moviejp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=zp-YYgzKmnk

JP-photomain-BP.jpg 「マンガ大賞2020」大賞を受賞した大人気漫画を実写映画化した『ブルーピリオド』。「美大とか行きたいわけ? 将来性ねえのに行く価値あんの?」と同級生のユカちゃん(高橋文哉)に冷たく言う矢口八虎(眞栄田郷敦)。そんな彼に「あなたにとっての価値のあるものが知りたいです」と聞く美術部顧問の佐伯(薬師丸ひろ子)の姿も予告編で見ることができます。
 今まで生きている実感がなく、ただ周りに合わせてきた八虎は、一枚の青い絵を描いたこと、そして佐伯から「好きなことする努力家は最強なんです」と言われたことなどをきっかけに入試倍率が200倍、東大よりも入るのが難しいと言われている東京芸術大学を目指すことになるようです。
 ここからは妄想です。ライバルは天才だらけ、絵を描くことがどんどん好きになっていく八虎は彼らに太刀打ちできない状況ですが、「俺はやっぱり天才にはなれない。だったら天才と見分けがつかなくなるまでやるしかない」という決意も予告編では見れます。
 ラストシーンはやはり東京芸術大学合格して、200倍を勝ち抜いた更なる天才たちが八虎に現れて「続編があるのか?」というものだと思います。二作品続けて大学編を妄想していますが、中年になった私には未来と可能性がある彼らが眩しいだけかもしれません。その眩しい光を全身に浴びに劇場に行こうと思います!

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『ブルーピリオド』
8月9日(金)全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©山口つばさ/講談社 ©2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

『フォールガイ』(8月16日公開)
公式サイト:https://fallguy-movie.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=DEkI2mOD154

メイン_2565_TPCC_00025A.jpg 『デッドプール2』『ブレット・トレイン』を手がけたデヴィッド・リーチ監督とライアン・ゴズリングがタッグを組んだ『フォールガイ』。スタントマンのコルト(ライアン)は元カノである映画監督ジョディ・モレノ(エミリー・ブラント)の作品で現場復帰したが、ハリウッドスターである主演俳優が突如失踪してしまう。
「痛い思いは山程してきたが失恋が一番キツイ」と語るコルトはジョディに未練があるようです。彼女との愛を取り戻せる可能性にかけて主演俳優のトムをコルトが探すことになります。しかし、ただの失踪ではなく、何か危険な陰謀にコルトも巻き込まれていくことになるようです。
 ここからは妄想です。ジョディがすべてを仕組んでいて、コルトの様子を全部撮影しており、ドキュメンタリーとフィクションを混ぜ合わせた作品を作ろうとしていたという可能性も考えられます。二人の愛の復活ももちろんですが、裏方のスタントマンである彼をメインにして有名にしたかった彼女の野望なのかもしれません。
 あるいはタイトルにある「FALL=落ちる」という言葉も気になります。コルトがどこかからダイブして落ちていくと別の世界に繋がっていて、自分が実はフィクションの世界の人物だったことを知るというラストもあるかも知れません。でも、こういうオチの映画って前にもありましたよね?

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『フォールガイ』
8月16日(金)より全国ロードショー
配給:東宝東和
©2024 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

『ラストマイル』(8月23日公開)
公式サイト:https://last-mile-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/jCH7TOZIG4s?si=32HEq0e1IfpCDOss

メインカット.jpg TBSドラマ『アンナチュラル』『MIU404』を手がけた、監督・塚原あゆ子と脚本野木亜紀子が引き続きタッグを組み、二作品の世界観とも繋がるシェアード・ユニバース・ムービー『ラストマイル』。
 巨大ショッピングサイトから配送された段ボールが爆発する事件が発生する。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)はチームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたることになっていく。
 ここからは妄想です。『アンナチュラル』『MIU404』は組織に潰されてしまう個人や、新自由主義やグローバル化が拡大していく中で奪われていくそれぞれの自由や尊厳についても描かれていました。故に見終わると心に澱のようなものが溜まっていき、世界や日常を見る視線が、他者についての想像力が広がるものばかりでした。その二作品と繋がっているこの映画はもっと切実にそのことを描いている作品になっているはずです。
 私たちの日常に欠かせない物流が抱えている問題など、痛いところに突き刺さる作品になっているのであれば、より観なければと思います。そして、ドラマ同様にオリジナル脚本である今作がヒットするかどうかはすごく重要なことでもあるはずです。いち野木亜紀子脚本ファンとして夏のマストな映画です。妄想ではなく、ただの想いが溢れてしまいました。

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『ラストマイル』
8月23日(金)公開
配給:東宝
©2024 映画『ラストマイル』製作委員会


文/碇本学

1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

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