もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2024年3月号

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(前章:3/22(金) 後章:4/19(金) 公開より)

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』三十一回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
3月公開の映画からは、この四作品を選びました。

『ARGYLLE/アーガイル』(3月1日公開)
公式サイト:https://argylle-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/2PAponhCHo8?si=Z7GnvYlsScYuvKzO

★メイン_Argylle_Photo_0101.jpg 『キングスマン』シリーズを手掛けたマシュー・ヴォーン監督最新作『ARGYLLE/アーガイル』。小説『アーガイル』を読んだママに「最高のスパイ小説だけど、この続きは?」と聞かれた娘で人気小説家のエリー・コンウェイは「こうご期待よ」と答えるものの、「ただの引き延ばしでしょ」と言い返されて落ち込む姿が予告編にあります。
 サイン会のためにエリーが愛猫のアルフィーと電車に乗っていると同席した男性にファンだと声をかけられる。しかし、なぜか車内で集団に襲われそうになったエリーをその職業がスパイだと言った男性に助けられます。エリーの小説が現実の出来事を言い当てており、そのためある組織から「預言者」として狙われていると教えられます。
 ここからは妄想です。エリーの書いた小説が現実を予言するのであれば、この物語の最大ピンチでは彼女が脱出方法を書くことで逃れることができるのではないでしょうか? そういう意味でも物語の創作者である彼女は「創造主」でもあるわけです。
 こういう話で最も怖いオチはなんだろうと思うと、小説『アーガイル』を書いているエリーの世界をさらに書いている人物がいるというものではないでしょうか? 最後にはさらにもう一層増えて、エリーたちについて書いている存在が登場して終わるのではないでしょうか?

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『ARGYLLE/アーガイル』
3月1日(金)全国公開
配給:東宝東和
© Universal Pictures

『ゴールド・ボーイ』(3月8日公開)
公式サイト:https://gold-boy.com/
予告編:https://youtu.be/a7hPyNG5YOM?si=ExW1T5pBonm55kz6

場面写真A.jpg 中国のベストセラー作家・紫金陳の小説『坏小孩』の舞台を沖縄に移した日本映画『ゴールド・ボーイ』。幼馴染の上間浩とその義妹である夏月と再会した安室朝陽は、遠くの崖から人らしきものが落下する瞬間を撮影してしまう。
 その時、崖の上では東昇が義理の両親を突き落としていた。婿養子の彼は義理の両親の富と地位を手に入れるために彼らを計画的に殺した。家庭の問題を抱えお金が必要な朝陽たちは殺害の証拠写真を使って、昇を脅して一千万円を出させようと動き出す。
 ここからは妄想です。「これが終わったら、俺たちは一切の縁を切る。いいな?」という昇に、「まだ話し始めたばっかりなのに」という朝陽。それに対して「お前、なに?」という不可解な表情をする昇の姿も予告編で見ることができます。また、予告編の最後に「子どもを舐めるな」という文字が出ており、大人であり権力も持とうとしていた昇をいかに朝陽たち三人が出し抜いて行くかという物語になりそうです。
 お金があれば自分たちの問題は解決できるという朝陽のセリフも予告編であり、印象的ですが、やはりそうではないことがラストに起きるはずです。問題はお金ではなく、常識や法律の外側に行ってしまった朝陽たちはもう戻れないという救いのないラストなのではないでしょうか?

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『デューン 砂の惑星PART2』(3月15日公開)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie/
予告編:https://youtu.be/dPBZXMq7MJw?si=_C8C9wLNx3bZ7EnZ

rev-1-DUN2-38301r_High_Res_JPEG.jpg 『メッセージ』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督×ティモシー・シャラメ主演による『デューン 砂の惑星PART2』。
 前作では砂の惑星デューンをめぐるアトレイデス家とハルコンネン家の壮絶な宇宙戦争が勃発し、アトレイデス家は全滅させられてしまった。しかし、その後継者であるポールは生き延びていた。彼は砂漠の民のチャニと心を通わせて、過酷な運命に抗おうとする。勢力を増していくハルコンネン家にポールは復讐することができるのか、という物語が今作では展開されていくようです。また、ハルコンネン家は生き残ったポールのことを知り、彼を始末するための刺客を送り込んでくるというのも予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。「さまざまな未来をみたが、僕らはいつも負ける。でも、ほんのわずかだが希望はある」というポールのセリフも予告編で聞くことができます。となると今回はその希望を見つける物語になるのではないでしょうか?
 どう考えても今回だけでは終わらない感じですよね。前作もそうでしたが、これはなんとしても観に行ってヒットさせて、できればIMAXですごい映像体験もして、「PART3」の制作を決定してもらいたいです。このまま続編に繋がるヒットにならないとポールの見た「負ける未来」になってしまいかねません。

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『デューン 砂の惑星PART2』
3月15日(金)公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(3月22日公開)
公式サイト:https://dededede.jp/
予告編:https://youtu.be/l9IDSs2ASXs?si=jSM6OZO4zYSS9fnk

★メイン.jpg 漫画家・浅野いにおによる傑作漫画が前章と後章のアニメ映画になった『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』。3年前に突如、未確認飛翔体である「母艦」が東京上空に舞い降りてきたが、「母艦」はそこで浮かんだまま回り続け、世界は終わらなかった。小山門出(幾田りら)と中川凰蘭(あの)は仲良しグループ友達と高校生活を満喫していた。しかし、友人のひとりである栗原キホが「母艦」にまつわる事故で亡くなってしまう。変わらないように見えた世界は崩れ始めていき、いよいよ世界は滅亡してしまうのか、と感じさせるものを予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。と言いたいところですが、私はこの漫画の連載第一回から読んでいる浅野いにおさんの大ファンなのでどんな結末を迎えるのかは正直知っています。
「もし何かが起きた時、俺たち凡人は受け入れるしかないんだ。その時、最後まで希望を失わないためにはどうしたらいいと思う?」と凰蘭の兄のひろしが予告編で言っているシーンがあります。その答えを知りたいとは思いませんか? 
 東日本大震災以降の日本の状況×クリストファー・ノーラン監督作におけるSF的な想像力が掛け合わされたこの物語は思いもよらない方向へと着地していきます。個人的に超絶オススメしたい作品です!

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『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』
前章:3/22(金) 後章:4/19(金) 公開
配給:ギャガ
©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee


文/碇本学

1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

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