『月刊予告編妄想かわら版』2026年2月号
『レンタル・ファミリー』(2/27公開)より
毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』五十四回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
2月公開の映画からは、この四作品を選びました。
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『トゥギャザー』(2月06日公開)
公式サイト:https://together-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/A5rQvmYOAvU
サンダンス映画祭でのワールドプレミア上映で大反響を呼んだ、本作で長編監督デビューを果たしたマイケル・シャンクスによる『トゥギャザー』。
長年連れ添ってきて倦怠期を迎えているミュージシャン志望のティムと小学校教師のミリーの二人は都会を離れ、田舎に移り住む。森を彷徨い、地下洞窟に落ちてしまった二人はそこで一晩過ごす。そこから二人の肉体は少しずつ変化していき、くっついてしまうようになる姿を予告編で見ることができます。「あの洞窟に何かがある。あそこでおかしくなった」とミリーが語るように洞窟になにか秘密が隠されているようです。
ここからは妄想です。予告編で「離れたいのに離れられない。試される絆は運命を超えられるか」というナレーション、「衝撃と共感を呼ぶ"恋愛共依存"ボディ・ホラー!」と謳われているので、おそらく二人が一つになってしまうラストなのでしょう。
しかし、二人は別れるには時間が経ちすぎていて、別れる理由もないという状況が体がくっついていくというメタファ的に表現されているとすれば、最後に一体化しそうになった洞窟の中で、互いが本音を言い合う。別れるという判断をすると肉体の結合は止まり、元通りになる。そして、二人は田舎を出て別の人生を歩み出すというラストもありえるかもしれません。
『トゥギャザー』
2月6日(金)よりTOHO シネマズ 日比谷他ロードショー
配給:キノフィルムズ
© 2025 Project Foxtrot, LLC
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『ブゴニア』(2月13日公開)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/bugonia/
予告編:https://youtu.be/UQBoIqwNT4E
『哀れなるものたち』『憐れみの3章』など、今回で五度目のタッグとなるエマ・ストーン主演×ヨルゴス・ランティモス監督の最新作『ブゴニア』。
カリスマ経営者のミシェル(エマ・ストーン)がある日、彼女がCEOを務める会社の末端社員であるテディ(ジェシー・プレモンス)とその従兄弟のドンによって誘拐されてしまう様子が予告編で見ることができます。
「おはよう。地球防衛本部へようこそ」「私の髪は?」「破壊した。船と連絡できないように」「船?」「君の宇宙船だ」「なるほど」というテディと坊主にされて顔に白いクリームを塗られているミシェルの会話を予告編で見ることができます。テディたちは陰謀論者で彼女が地球を侵略しにきた宇宙人だと信じているようです。
ここからは妄想です。といってもテディたちの陰謀論が妄想のようなものなので、ミシェルを誘拐したあとに彼らがどんな行動を取るのかが物語の見どころなのでしょう。
エマ・ストーンとヨルゴス・ランティモスが組んだ前作『憐れみの3章』では、エミリー(エマ)が「選ばれし者」を見つけだすが、ラストである出来事が起きてしまうというブラックユーモアがありました。今作もそのニュアンスが感じられるので、宇宙人らしき存在はいるのかもしれません。陰謀論者であるテディが実は地球に送り込まれた宇宙人というオチもありえそうです。
『ブゴニア』
2月13日(金) TOHOシネマズ日比谷 他 全国ロードショー
配給:ギャガ、ユニバーサル映画
©2025 FOCUS FEATURES LLC.
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『センチメンタル・バリュー』(2月20日公開)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/sentvalue_NOROSHI/
予告編:https://youtu.be/Dd3ewnc9ujw
第78回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した『わたしは最悪。』でも知られるヨアキム・トリアー監督最新作『センチメンタル・バリュー』。
「新作の主役をお前に演じてほしい。お前のために書いた」と台本を渡す映画監督の父・グスタヴ(ステラン・スカルスガルド)と「パパとは働けない。今さら関わらないで」と拒絶する俳優の娘・ノーラ(レナーテ・レインスヴェ)の姿が予告編で見ることができます。
ノーラに復帰作を断られた父はその代わりに人気俳優のレイチェル(エル・ファニング)を抜擢し、新作の撮影場所はかつて家族みんなで暮らしていた実家だとノーラが知ることになるようです。
ここからは妄想です。ノーラには家庭を選んで夫と息子と暮らす妹のアグネスがおり、「同じ環境で育ったのに私だけ失敗作」と伝えるなど、家族の中で傷ついてきたことがわかります。
「これは私の役じゃない」とレイチェルがノーラに話しているシーンも予告編にあります。やはり、ノーラは父の新作に出ることになるのでしょう。その時、家族の失われた時間は修復されるのか、親子は許し合えるのかというテーマもその父の新作では描かれるという二重構造になっている可能性もありそうです。家族や親子関係で悩んでいる人が観に行くことでなにかが癒されたり、考えるきっかけになる一作ではないでしょうか?
『センチメンタル・バリュー』
2月20日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:NOROSHI、ギャガ
© 2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS / ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE
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『レンタル・ファミリー』(2月27日公開)
公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/rentalfamily
予告編:https://youtu.be/mp4Hisbo_sY
長年ハリウッドの表舞台から遠ざかっていたが、『ザ・ホエール』で第95回アカデミー賞主演男優賞を受賞し俳優として復活したブレンダン・フレイザーを主演に迎え、オール日本ロケを行ったHIKARI監督『レンタル・ファミリー』。
東京で暮らす落ちぶれた白人俳優のフィリップはエージェントにある仕事を紹介される。それは「レンタル家族」として依頼者の求める存在を演じるというものだった。幼い少女の父親のフリをしたり、中年男性と一緒にゲームをしたり、高齢の男性と一緒に旅をしたりといろんな「仮」の役割を演じていく中で、「演じる」ことはなにか? 生きることとはなにかを見つけていく物語になっているようです。
ここからは妄想です。「感情を売るんだ。お客様が望む人物を演じる。親、兄弟、彼氏、彼女、親友、彼らに欠けているものを埋めるんだ」とレンタル家族を派遣する会社の社長(平岳大)がフィリップに「レンタル家族」の役割について話しているシーンが予告編にあります。その欠けている部分をフィリップが演じる人物によって埋めていくとすると、いつか彼自身も自分の欠けた部分について考えることになるのかもしれません。
やはり、フィリップ自身が偽物ではなく本物になりたいと最終的には思うようになって、演じることを、レンタル家族をやめるというラストではないでしょうか?
『レンタル・ファミリー』
2月27日(金)公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
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文/碇本学
1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

