もやもやレビュー

びっくりするほど見るべき点のないホラー『ザ・ポルターガイスト 悪魔の棲む家』

Poltergeist Activity
『Poltergeist Activity』
4 Digital Media
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 ピエロの人形とふざけた格好した仮面の悪霊らしきものが出てくるだけでホラー映画なのに恐怖感はない。そもそもジャケット画像のようなシーンは一切出てこないため羊頭狗肉という言葉すら生ぬるい。これで見せ場があればせめてもの救いだがホラー映画で死ぬほど見たプロットと人死にも血しぶきもない83分間が延々と続くだけ。SNSで制作側が「どんな映画作品にも見るべきところはある」と訴えている書き込みを目にしたが本作のようなやる気も何もないレベルの代物を視聴してどこに見るべきものがあるのか教えて欲しいと痛切に思う。自主映画だってやる気くらいは感じるのに本作にはそれすら存在しているとは思えない。もう少しやる気を出して欲しい。

 妻を亡くしたことを機にデビッドは娘のキャサリンと一緒に郊外の一軒家へと引っ越した。その家はかつて虐待していた奴隷によって殺害された富豪の一家の霊が住み着いていた――という内容。あらすじを読んだ時にベタと言えばベタだが、それゆえ大きなハズレではないと思った自分の甘さが嫌になる。

 娘のキャサリンはベッドの下に置いてあったピエロの人形を見つけ屋根裏に置いたはずなのに、その人形があちこち場所を移動するという演出が施されているのはまぁいい。問題はどう考えても奴隷制があった時代とは思えないほどこの人形が新品同様ということ。せめて汚れくらいは付けたらどうか。

 ポルターガイストなども発生し親子は家の外に逃げ出し向かいの家に逃げ込む。そこで家主の女性から親子の自宅にまつわる逸話を聞く。
 いわく、親子の家は1900年代初頭に住んでいた富豪一家が奴隷を虐待していたことにより反乱を起こされ殺害されたとのこと。ピエロの人形は富豪の娘を呪い殺すためにプレゼントされたものだったという。以後、親子の家では所有者の変死や怪異現象が多発し今では有名な心霊スポットであるとのこと――。

 ここでなぜか親子は自称専門家を呼び自宅で先の家主と一緒に降霊会を開く。富豪一家の霊と交信していると霊媒師が鉛筆で向かいの家主の肩を刺すわ自称専門家はピエロに首を絞められるわと現場が大混乱。親子は車でその場から逃げ出すが、車の後部座席にはピエロの人形がひょっこり顔を出してエンドロールへ。

 何一つ収拾つかないまま無理やり終わらせた感が満載でオチまで酷い。作品の方向性も真面目にやっているのかふざけてやっているのか判断つかず中途半端な印象しかなかった。エンタメとしては最悪の部類で笑う要素もなく無駄に不快感だけが積み重なる映画体験だったので間違ってもおすすめは出来かねる作品だった。

(文/畑中雄也)

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