動物と心を通わせる"ふつう"のやさしさ 『ドクター・ドリトル』

- 『ドクター・ドリトル(吹替版)』
- スティーブン・ギャガン,ジョー・ロス,スーザン・ダウニー,ジェフ・キルシェンバウム,スティーブン・ギャガン,ダグ・マンド,クリス・マッケイ,ダン・グレゴール,ロバート・ダウニー・Jr,エマ・トンプソン,ラミ・マレック,ジョン・シナ,クメイル・ナンジアニ,トム・ホランド

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『ドクター・ドリトル』は、ヒュー・ロフティングによって1900年代初頭に生まれた児童文学の金字塔。動物と会話をする能力を持つ、ユニークなドリトル博士と動物たちが、世界のあちらこちらで不思議な冒険を繰り広げる物語だ。
かつてのエディ・マーフィー版『ドクター・ドリトル』が、ひたすらに笑わせにかかっているのに対して、ロバート・ダウニー・Jr版『ドクター・ドリトル』は、やや原作より。お腹こそふっくらしていないものの、賢くて思いやりにあふれ、ちょっと天然でもある博士は、いつだって動物と対等な目線で向き合う。だからこそ、この映画では、博士はもちろんのこと、彼が共に暮らす仲間である動物たちが物語の中心的な存在となっている。
原作でもおなじみの、犬の「ジップ」、アヒルの「ダブダブ」、オウムの「ポリネシア」。映画版のオリジナルキャラクターとして登場する、ペンギンの「チャチャ」、ゴリラの「ジオ」。動物のCG技術やビジュアルエフェクトが進化していることもあり、かつて小説の中で感じていた、動物のコミカルな動きがダイナミックで視覚的に楽しめた。
全13冊におよぶ長い長い原作のなかで、繰り返しドリトル先生が伝えてきたこと、人間と動物が共に生きるために必要な価値観。価値観といっても、先生にとってはごくごく当たり前のことのように太刀振る舞うのだが、観ているこちら側は彼らの絆にハッとさせられるし、子どもも大人も、そこに大切な何かを感じとることができるのだ。それこそが『ドクター・ドリトル』が長年にわたって読まれ愛され続けてきた理由。原作の魅力がいまも色あせていない証拠が、映画を通してあらためて浮かび上がってくる。
(文/峰典子)

