もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2025年09月号

『テレビの中に入りたい』 (9/26公開)より

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』四十九回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
09月公開の映画からは、この四作品を選びました。

『ヒックとドラゴン』(09月05日公開)
公式サイト:https://hic-dragon-movie.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=Wgb3m14V5hE

★メイン_2569_FP_01025.jpg ドリームワークスが手がけた最高峰のアニメ作品を、IMAXカメラで撮影した実写映像と緻密なCG技術によって映像化したドラゴンライド・アドベンチャー『ヒックとドラゴン』。
「我々はドラゴンを倒すため、あらゆる土地を旅するバイキングの子孫だ」という勇敢な父を持つ臆病な少年のヒックは、罠にかかったドラゴンを殺して一人前のバイキングになろうとする。しかし、殺すことはできずに罠を解いたことで一人と一頭は次第に心を通わせていく。何世代にも渡って人間とドラゴンが戦っているこの島では、敵同士の彼らは交わることはなく、「何百人も犠牲になった!」「こっちはもっと殺してる!」という父と息子のやりとりも予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。と言いたいのですが。この映画の元になったアニメ作品を上映時に観ており、自分の中でも大好きな作品です。それもあって、なぜ今更実写化したのだろう、まさかコンテンツがないのかなと思ったりもしました。しかし、予告編を観るとヒックがドラゴンの背中に乗って飛行しているシーンは圧巻です。これはIMAXなどのどデカいスクリーンで観るべき作品でしょう。
 アニメの物語のままなら傑作になるのは間違いなしです。だからこそ、実写版で変にストーリーやキャラクーをいじったりしていないことを祈って公開を待ってます!

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『ヒックとドラゴン』
9月5日(金)全国公開
配給:東宝東和
©2025 UNIVERSAL PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』(09月12日公開)
公式サイト:https://d-stranger.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=xRGRpHZcmCQ

★メイン_BAE_20241218_JP_00352_01-(1).jpg『ディストラクション・ベイビーズ』『宮本から君へ』の真利子哲也監督・脚本による全編ニューヨークロケを敢行した『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』。
 日本人の賢治(西島秀俊)と中華系アメリカ人の妻ジェーン(グイ・ルンメイ)は幼い息子のカイと共にニューヨークで暮らしていた。しかし、カイが行方不明になってしまい、そのことで二人の仲は険悪となり、お互いを疑うようになってしまう。
「カイに話すべきだった」「言えるわけない」という夫婦のやりとりもあり、彼らがなにか息子に秘密にしていることがあるのが予告編でわかります。
 ここからは妄想です。夫の賢治は「廃墟」の研究をしているようです。もしかしたら、彼らの子供のカイは「こちら側」の人間ではないのかもしれません。賢治が研究している「廃墟」のどこかが別の時間軸に通じており、「あちら側」では彼ら夫婦には赤ん坊が生まれていた。だが、「こちら側」では夫婦は子宝には恵まれておらず、賢治が「あちら側」から生まれたばかりのカイを奪ってきていたという設定はどうでしょうか?
 数年経って、「あちら側」の賢治とジェーンが「こちら側」にやってくる方法を見つけ出して、「こちら側」のカイを取り戻しにきた。最後は賢治ともう一人の賢治がカイをかけて殺し合いをする、という終わり方ではないでしょうか?

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『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』
9月12日(金)TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー
配給:東映
©Roji Films, TOEI COMPANY, LTD.

『宝島』(09月19日公開)
公式サイト:https://www.takarajima-movie.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=JAYEzUulx2k

★メインスチール_『宝島』.jpg 第160回直木賞を受賞した真藤順丈による傑作小説を、『龍馬伝』『るろうに剣心』シリーズで知られる大友啓史が監督・脚本を手がけ映画化した『宝島』。
 戦後、沖縄がアメリカに統治されていた時代、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。彼らの英雄的な存在で、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが年長のオン(永山瑛太)だった。しかし、ある日、その英雄は姿を消してしまう。そして、時が経ってオンの親友だったグスク(妻夫木聡)は刑事になり、実弟のレイ(窪田正孝)はヤクザになり、恋人だったヤマコ(広瀬すず)は小学校教師になった。そんな姿を予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。姿を消した英雄のオンは米軍基地からなにかアメリカ政府や軍を揺るがすようなものを盗んでしまったのでしょう。「オンちゃんの代わりに私が英雄になる!」というヤマコの姿もあり、沖縄の独立運動も加熱していくようです。
 オンが盗んだのは沖縄を永久にアメリカ領にしてしまおうという計画書だったのかもしれません。しかし、日本政府もそれを公にされてしまうと、日米の関係性が崩れてしまうと危惧し、彼は日本政府に極秘に匿われていた。そして、沖縄が日本へ復帰した時にオンがグスクたちの前に戻ってくるというラストではないでしょうか?

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『宝島』
9月19日(金) 全国公開
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

『テレビの中に入りたい』(09月26日公開)
公式サイト:https://a24jp.com/films/tv-hairitai/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=2PEKyl4O6OA

メイン画像.jpg A24制作による90年代のアメリカ郊外を舞台にしたメランコリック・スリラー『テレビの中に入りたい』。
 ティーンエイジャーのオーウェンとマディは幼少期から、毎週土曜日22時半に放送されていたテレビ番組『ピンク・オペーク』を見ていた。その番組は彼らの生きづらい現実を忘れさせてくれるもう一つの居場所にもなっていた。
「男子より女子が好き」とマディが、オーウェンに伝えると、彼は「全然、大丈夫だよ」と答え、「あんたは女子が好き?」と彼女に聞かれると「僕はテレビ番組が好き」と彼が答えるシーンも予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。「ここに居たら死ぬ」というマディの言葉、そして「そして彼女は消えた」というオーウェンの言葉があり、彼女は彼の前から、郊外の町から消えてしまうよう。マディは自身のセクシャリティのこともあり、すべてを投げ捨てて今の状況から逃げ出して、大都市に向かったのかもしれません。
 しかし、そのことを受け入れられないオーウェンは、彼女はテレビの中に、『ピンク・オペーク』の世界に行ってしまったのだと思い込んでしまうのではないでしょうか。しかし、テレビの中に入ることができないオーウェンは最終的にはテレビ番組を作ろうと決意する。そして、大人になった二人が数年後に大都市で再会するというラストはどうでしょうか?

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『テレビの中に入りたい』
9月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2023 PINK OPAQUE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


文/碇本学

1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

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