"なめられる人生"はコスパが悪い! 人生の主導権を取り戻すヒント

- 『なめてくるバカを黙らせる技術』
- 黒坂岳央
- アルファポリス
- 1,760円(税込)

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突然ですが、皆さんは人からなめられやすいですか、それともなめられにくいでしょうか。人からなめられているかどうかは些細なことのようでいて、実はとても重要な問題です。なぜなら、「なめられると、人生で損をする」から。書籍『なめてくるバカを黙らせる技術』は、自身も周囲からなめられ続けてきたという黒坂岳央さんが、これまで現場で学んできた「なめられないためのノウハウ」を徹底解説した一冊です。
実業家やYouTuber、ビジネスニュースライターなど多彩な顔を持つ黒坂さんですが、学生時代も社会人になってからも「いい人でいよう」「愛される人物になろう」と下手に出た結果、周囲からいじめられたり、都合よく使われたりしてきたといいます。世間には「自分はなめられても気にしない」という人もいるかもしれませんが、なめられる人生で何か得することはあるでしょうか。
「なめられると失う5つのもの」として、本書は第1章で「時間」「お金」「自尊心」「権威性」「人脈」を挙げています。これらを「どれもが生きていくうえで大切なものだ」とし、「これまでの人生を振り返り、なめられることの是非を考え直してみてはどうだろうか」と黒坂さんは本書を通して問いかけます。
その上で、なめられないために大切なこととして「強い姿勢を示し、妥協しない態度を取る」ことを挙げます。まずは、第1章の「なめられやすい人の特徴」にあるような見た目や態度を意識するだけでも、周囲からの反応は違ってくるかもしれません。さらに第2章の「絶対に『なめさせない』技術」の箇所は、他人からなめられるような事態を未然に防ぐ策として、ぜひとも参考にしたいところ。
たとえば「スペシャリティを持つ」というのも効果的だそうです。スキルや経験などの強みがあれば人材としての希少性が高まり、なめられることがなくなったり、多少欠点があっても「でも、あの人は仕事できるからなあ」と一目置かれたりすることがあるからです。黒坂さんにとってのそれは英語だったそうですが、どんな形でもよいので「とにかく市場価値がそれなりに高くて、あまり一般的でないスキルや経験を持つことで、なめられる可能性がぐっと減る」(本書より)といいます。
ほかにも、なめてくる相手のパターンやなめられるケーススタディ、さらにはなめてくる相手への反撃例まで具体的に紹介されている本書。タイトルの「なめてくる」「バカ」「黙らせる」という言葉だけを見ると、なんだか物騒ですが、主張自体は「なめられる人生はコスパが悪いから、なめられない技術を身につけよう」という、非常に合理的でシンプルなものです。
そして「なめられない技術」とは、時間や労力を相手に搾取される人生ではなく、自分の意思で舵を取って人生の主導権を握っていくスキルのこと。日常の人間関係を健やかに保ち、もっと自分の意思で人生を歩みたいと考える人にとって、本書は一読の価値がある一冊です。
[文・鷺ノ宮やよい]
