現職大統領の実話がまさかの映画化『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』 1月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷他にて公開
今回紹介する『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』の注目度は日本ではどの程度になるのだろうか? 現職大統領を題材にした映画を作り上げて公開するなんてすごいことだと思う。日本に置き換えて現職総理大臣の映画が上映されるとは考えにくい。さらに、内容的にもプラスとなる情報ではないからなおさらだ。ドナルド・トランプが全米公開を阻止しようとするほど封印したかった過去が今、解禁される!
20代のドナルド・トランプは危機に瀕していた。そんな中、政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンと出会う。勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男だ。そんなコーンが"ナイーブなお坊ちゃん"だったトランプを気に入り、〈勝つための3つのルール〉を伝授し洗練された人物へと仕立てあげる。やがてトランプは数々の大事業を成功させ、コーンさえ思いもよらない怪物へと変貌していく......。
本作、ゴールデングローブ賞で主演男優賞と助演男優賞でノミネートされている。
トランプ役を演じたのはセバスチャン・スタン。マーベル作品ではウィンターソルジャーを演じている。また、ドラマ「ゴシップガール」ではカーターを演じていた。実際は似ていないはずなのに鑑賞中どんどんトランプに見えてくる。だからといって特殊メイクで完璧にトランプにしているわけでもない。この案配がとてつもなく難しいだろう。そこを見ている観客にトランプだと思わせるのだから、メイクの技術の高さがうかがえる。また、細かい言動を真似ていると思われるシーンもあり実在する人を(しかも大統領)をここまでコピーし似せてくる俳優の熱量も伝わってきた。
若きトランプに入れ知恵をしていたロイ・コーン役を演じたのはジェレミー・ストロング。2024年にトミー賞主演男優賞を受賞している実力者である。ロイ・コーンについてはこの作品を見て初めて知ったが、登場シーンは最初から映った瞬間から悪そうな人という印象をあたえた。この人物がトランプに教えた〈勝つための3つのルール〉もとても興味深いものだったのでぜひ鑑賞して確認してほしい。
そして、トランプという人が経営者としても、政治家としても勝つことにこだわり負けの許されない人生を送ってきたことが劇中で分かってくる。
負けることの出来ない人生はとてもストレスフルで苦労も多いだろう。彼が負けないことで得たものと失ったものを鑑賞後に考えた。案外、負けることも悪くない......。勝つことだけでは得られないものもあるように思えた。
ホワイトハウスから彼は今後どのような景色を眺めるのだろうか? まだまだ今後も彼から目が離せない。
(文/杉本結)
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
1月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷他にて公開
監督:アリ・アッバシ
出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローヴァ
配給:キノフィルムズ
原題:The Apprentice
2024/アメリカ/12分
公式サイト:https://www.trump-movie.jp
予告編:https://youtu.be/VJPsnHuCZQ4
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