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ガガとホアキンが描く"二人の狂気"『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』
Todd Phillips,Emma Tillinger Koskoff,Joseph Garner,Scott Silver,Joaquin Phoenix,Lady Gaga,Brendan Gleeson,Catherine Keener,Zazie Beetz
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ホアキン・フェニックスがDC映画『バットマン』の悪役ジョーカーを演じ、大きな話題となった『ジョーカー』(2019年)。第76回ベネチア国際映画祭で金獅子賞、第92回アカデミー賞では主演男優賞を受賞するなど、世界的に高い評価を受けました。その続編となる『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が2024年に公開されましたが、事前には「続編はミュージカルになる」というニュースが賛否両論を呼ぶことに。この続編では世界の歌姫であるレディー・ガガが、ジョーカーと恋に落ちるハーレイ・"リー"・クインゼルを演じることでも期待が高まっていましたが、Rotten Tomatoesでは31%と低評価。本作で、ホアキンとガガの演技は絶賛されていたものの「狂気が支配する感覚が欠けている」「物語が薄っぺらい」など辛口コメントも見受けられました。

物語は、ジョーカーとして殺人を犯したアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)がアーカム州立病院に収容されるところから始まります。彼は病院で音楽療法に参加し、そこでハーレイ・"リー"・クインゼル(レディー・ガガ)と出会い、恋に落ちていきます。一方、アーサーの裁判がテレビで中継され、ジョーカーの狂気は次第に群衆にも伝染していきます。

タイトルの「フォリ・ア・ドゥ(Folie à Deux)」はフランス語で「共有された狂気」という意味で、共有精神病や共有妄想性障害(SDD)を指します。つまり妄想的信念が一人からもう一人に"伝わる"現象のこと。ちなみに3人で共有すれば「Folie à Trois」と呼ばれるそう。アーサーとリーが出会うことで生まれるアーサー自身の変化や、狂気が伝染していく過程はとても興味深く感じました。そして何より印象的なのは、ガガの魅力的な歌声と、ホアキン・フェニックスの圧巻の演技力。ジョーカーは本来"悪"であるはずなのに、どこか共感してしまう。そんな不思議な引力を持つ演技に強く惹き込まれ、圧倒されました。

(文/トキエス)

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