共働き家庭の悩みに寄り添う 仕事と育児の"両立のリアル"を学べる実践本

- 『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』
- 岸畑聖月
- 文響社
- 1,958円(税込)

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戦後の日本において、高度経済成長期のころには男性は外で長時間働き、女性は家庭で子どもを産み育てるという社会規範が色濃くありました。しかし1990年代以降、女性の就労者数は10年で約600万人増加。「働くこと」と「子育て」の両立を後押しする法整備などが進む一方、理想と現実の間にはまだまだ大きな乖離があり、日々葛藤を感じている人も多いのではないでしょうか。
そんな中、「過渡期にあたるこの時代を、前向きに乗り越えるためのサバイバルガイド」として作られたのが『働く親のためのサバイバルガイド 子育ても仕事も大切にしたい人の人生戦略書』。著者・岸畑聖月さんの助産師としての知見と、約1000名の「はた親(働きながら子育てする親)」の経験則が詰まった一冊になっています。
本書のテーマとなるのが、「『育てながら働く』20年の航海を、どう楽しみながら前に進めていくか」。家族は、言ってみれば一つの同じ船に乗った船員です。「自分たちがどんな船に乗りたいのか」「どんな島(目的地)にたどり着いたら幸せなのか」「どんな旅路(航海)なら心地よいのか」といった目的地と航路が一緒に描けていないと、家族という船は途中で行き詰まってしまいます。本書はきっと、そのロードマップを見つけるためのコンパスとなってくれることでしょう。
妊娠の判明から産休・育休、保活の時期は、例えるならば旅の出航準備段階。新しい人生のステージとどう向き合うか計画を立てることは、夫婦にとって非常に重要なものとなります。子どもが生まれると、それぞれの段階によって大変さも変わってきます。子どもが0~1歳の頃は、親の復職直後なところに、子どもの夜泣きや感染症が連発。本書の「ウイルスの谷へのそなえ方」や「『夜泣き峠』の上手な歩き方」などは、ぜひ参考にしたいところです。
その後も、子どもが2歳のイヤイヤ期、3~5歳ごろの「2人目どうする?」問題、6歳以降の「小1の壁」や「長期休暇中の働き方」「はた親としての学校村への関わり方」など、共働きの家庭が直面する壁は少なくありません。本書では、さまざまなデータや経験談とともに、悩みごとへの糸口が散りばめられており、つまずきの乗り越え方を誰でも再現できるようにまとめられています。
仕事と育児の両立を考えると、子どもを産み育てることにためらいを感じる人がいるのも事実です。しかし、本書に掲載されているデータで一つ注目したいのが、「過去から現在までの仕事人生を振り返り、生活全体の満足度はいつが一番高いですか?」というアンケート結果。「出産前で、働いていたとき」(30.25%)や「出産後で、休職中のとき」(24.24%)に比べ、「子育てをしながら働いているとき」(43.75%)がもっとも多くなっています。
両立の大変さを仕組み化したり、それを夫婦であらかじめ共有したりすることで、負担を軽くすることもできるかもしれません。本書を活かして、働くことと育児の両方を納得して進められる、自分なりの人生の航海図を描いてみてはいかがでしょうか。
[文・鷺ノ宮やよい]
