全国へはばたけ!『侍タイムスリッパー』
『侍タイムスリッパー』 8月17日(土)より池袋シネマ・ロサにて公開
本作は自主映画である。そして、コロナ禍で資金集めも難しく撮影も挫折しそうになったそうだ。だが、脚本が面白いということで東映京都撮影所が特別協力したというではないか。一体どんな作品なのか気になって鑑賞した。
自主映画で時代劇なんて聞いたことがない。そして、時代劇自体、あまり鑑賞することがないので私は楽しめるのか?と一抹の不安があった。
だが、鑑賞してみるとそんな不安は一気に吹き飛ぶのでご心配なく! 普段、時代劇を観ない人でもまったく問題ありません。
本作は、幕末の侍があろうことか時代劇撮影所にタイスリップ。「斬られ役」として第二の人生に奮闘する姿を描く。コメディでありながら人間ドラマ、そして手に汗握るチャンバラ活劇でもある。
この主人公の侍の台詞に、今を生きる私たちは恵まれすぎた環境にいるのだと何度も気付かされた。
私たちにとってはただのおにぎりだが、幕末からきた侍にとっては真っ白でふっくらとした白米自体が最高に美味しかったという描写。食事に困らないで生きていけていることがどれほど恵まれているのか、いま一度考えるべきだと思った。
真面目なシーンや胸打つようなシーンもあるけれど、それでも本作の魅力はコメディであるところだと思った。とにかく、誰が観てもクスッと笑える笑いが随所に組み込まれている。それが波打つように心地よい間隔で笑いの波がやってくる。
そして、東映がインディーズ映画に場所を提供したのも頷ける脚本の面白さ。どこを切り取ってもネタバレになるので書けないのが心苦しいが劇場でこの面白さは体感して欲しい。
あの『カメラを止めるな』と同じ池袋シネマ・ロサの上映が決まった。ここからは観た人の口コミパワーで全国に広げるしかない! 全国の映画ファンに本作が届くことを願っている。
(文/杉本結)
『侍タイムスリッパー』
8月17日(土)より池袋シネマ・ロサにて公開
監督・脚本・照明・編集・他:安田淳一
出演:山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰蘭太郎 ほか
配給:未来映画社
2023/日本映画/131分
公式サイト:https://www.samutai.net
予告編:https://youtu.be/k4MF2zREJ5o
©2024未来映画社