マウンテンゴリラを愛し身を捧げた女性研究者 『愛は霧のかなたに』
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米国人女性が絶滅の危機にあるマウンテンゴリラの調査と保護のためにアフリカに渡り難行苦行。1988年に制作、公開された『愛は霧のかなたに』である。
シガーニー・ウィーヴァー演じる動物学者ダイアン・フォッシーとは実在した人物で、ゴリラ保全活動を行いながら、ルワンダの森林に18年も住み続けたという。
絶滅の危機に瀕しているという中央アフリカの山奥にだけ棲息するマウンテンゴリラを救うため、単身アフリカに向かったダイアン。協力者の裏切りにあい、ほぼ単身で山奥へ。そこで感動的なゴリラとの触れあいに成功したダイアンは、研究センターを開設。しかしその一方で、お金目当てにゴリラを密猟する人がいることに頭を悩ませる。そんなある日、密猟者によってゴリラが殺される事件が起き...。
愛らしいゴリラ達と過ごすうちに愛情がどっぷりと深くなり、行動がエスカレートしていく。その様子は、彼らを守るためとは言え、狂気じみていて恐ろしくもある。演技は真に迫っていて背筋がゾクゾクとする。事実、モデルであるダイアン・フォッシー自身も、ゴリラを愛するあまりに密猟者や地元住民に厳しい仕打ちをし、恨まれることがあったのだという。
ダイアンの情熱と過激さ、裏も表もきちんと描写されており、単に「良い人」とされていないところがいい。
果たして、人間は正しければ何をしても構わないのだろうか。そんなことを考えさせられてしまう。
命をかけた闘いは実を結び、その後は密猟も減少。ゴリラの保護基金、研究者育成は現在も続いている。彼女の身に起きたことを教訓に、地元民との信頼関係を深めることを大切にしていったからだと後に知った。あれやこれが無駄でなかったことを彼女も喜んでいるだろうか。
(文/峰典子)