もやもやレビュー

新しい妊娠の形はまさかの卵型ポッド『ポッド・ジェネレーション』

AIが発達した近未来。持ち運び可能な卵型の《ポッド》で赤ちゃんを育てるカップルを描いたSFラブコメディをご紹介します。
30年前だったら日常の中で機械に話しかける生活なんて夢物語でした。だけど、現在その夢物語は現実のものとなっています。
そのことを考えると、今回紹介する映画の中で起きる出来事も、当たらずも遠からずな時代がやってくるかもしれないと思いながら鑑賞しました。

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近未来のニューヨークで暮らすレイチェルとアルヴィー。大企業のペガサス社は、持ち運び可能な卵型の《ポッド》を使った気軽な妊娠を提案する。ハイテク企業に勤めるレイチェルは新しい妊娠方法に心惹かれる。一方、植物学者のアルヴィーは自然な妊娠を望む。そんな二人が、出産までの10ヶ月の間、《ポッド》で赤ちゃんを育てることを選択した−

もしも妊娠中に起こる体調の変化が起きないとしたら、それだけでも画期的なことだと思います。
特に悪阻は自分の意思とは関係なく起こる出来事で、人によって大変な人もそうでない人もいて他人には理解してもらいにくいもの。また、物理的にお腹が大きくなることで行動の制限も出てきます。
大変なことをあげたらキリがないけれど、無事に出産を終えてしまえば幸せな気持ちになるような体験になります。胎動を感じて生活した日々はもう2度とやってこないかと思うと寂しいくらいです。

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ポッドでは感じることの出来ない妊娠、出産体験。働く女性が増えている現代だからこそ妊娠から夫婦2人のものとして分かち合っているようにも感じました。
ポッドを大事そうに抱える男性の姿は少し面白くもあり、でも産まれてくる前からこれで父性が目覚めるきっかけになるならポッドも悪くないなと思ったりしました。

ラブコメディとなっているので誰がみても楽しく見られる作品だと思います。妊娠や出産はゴールではなく、子育てのスタートライン。さらに、エンドロールでは作品よりもある意味衝撃的な台詞が!
鑑賞後、その台詞が忘れられなくなりました。ぜひエンドロールまでお楽しみください。

(文/杉本結)

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『ポッド・ジェネレーション』
12月1日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開中

監督:ソフィー・バーセス
出演:エミリア・クラーク、キウェテル・イジョフォー ほか
配給:パルコ

原題:The Pod Generation
2022/ベルギー、フランス、イギリス合作/111分
公式サイト:https://pod-generation.jp/
予告編:https://youtu.be/54_jUjr5CRo?si=OrJ82sVy4V9fM2c7
© 2023 YZE - SCOPE PICTURES - POD GENERATION

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