『世界一キライなあなたに』をみて尊厳のある生き方について考えた。
- 『世界一キライなあなたに』
- テア・シャロック,スー・ベイドン=パウエル,エミリア・クラーク,サム・クラフリン,ジャネット・マクティア
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先月、イギリス議会下院で安楽死の法案が賛成多数で可決したというニュースがありました。
本作は、イギリスをはじめ、各国で話題になったベストセラーの恋愛小説「Me Before You きみと選んだ明日」を映画化したものです。2016年に公開されましたが、その結末には賛否両論があったそうです。
舞台はイギリスの田舎街。ルイーザ・クラーク(エミリア・クラーク)は、働いていたカフェが突然閉店することになり、無職になってしまいます。職探しをしたルーが新たに見つけた仕事は、6か月限定の介護職でした。
介護の相手は、かつては有能な実業家でしたが、交通事故で脊髄損傷し、四肢麻痺となったウィル・トレイナー(サム・クラフリン)でした。
ウィルは、元々は快活でスポーツが大好き。イケメンで恋も仕事も順調、実家も裕福な青年実業家でしたが、バイク事故のせいで、両手両足を自由に動かすことができず、車椅子の生活を余儀なくされ、生きる希望を失っていました。
そこに、オシャレ大好きで誰にでも臆さず接することができるルーが現れます。ウィルは最初こそルーに冷たく当たっていましたが、少しずつ明るい性格のルーに心を開いていきます。やがて二人は恋に落ちていきます。
しかし、ウィルはルーと出会う前から安楽死することを決めていたのです。ショックを隠せないルーでしたが、なんとかウィルの気持ちが変わるようにと競馬や演奏会に連れ出したり、一緒に旅行に出かけたり一生懸命努めます。そうして楽しい記憶や二人の想い出もたくさんできたことで、ウィルの決意をどうか変えることができたのか。ぜひ本作でみてください。
筆者は、本作のタイトルから、嫌いだった存在がいつの間にかかけがえのない人になるなどの恋愛ものかと想像していたのですが、実際は安楽死という非常に重いテーマを扱う映画でとてもとまどいました。が、普段考える機会のない、安楽死について、また尊厳のある生き方について考える良いきっかけになりました。
冒頭の話に戻りますが、安楽死法案が可決した一方で、高齢者や障害者が周りに介護や経済面の負担をかけないように死を選ぶことにつながる恐れがあるなどの反対の声も上がっているそうです。
(文/森山梓)