筋肉の鎧を脱ぎ捨てた、剥き出しの魂。ドウェイン・ジョンソンが挑む孤独のリング――『スマッシング・マシーン』
『スマッシング・マシーン』 5月15日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
これまでの「ドウェイン・ジョンソン」というアイコンを根本から覆す衝撃作が公開される。伝説の総合格闘家マーク・ケアーの半生を描いたA24製作の映画『スマッシング・マシーン』だ。
総合格闘技が隆盛を極めた1990年代後半から2000年代前半。無敵の強さを誇り、"霊長類ヒト科最強"の 異名で恐れられたマーク・ケアー。しかし栄光の裏側には、勝利への重圧と依存症にもがき苦しむ男の真実があった。
本作の最大の驚きは、主演のドウェイン・ジョンソンの変貌ぶりだ。お馴染みの快活な笑顔を一切封印し、特殊メイクを施してまでマーク・ケアー本人になりきった彼の演技には、これまで見たことのない「脆さ」と「悲哀」が宿っている。彼を支え、時に追い詰める人間模様を、ベニー・サフディ監督が持ち前のヒリつくような緊張感で描き出していく。
そして、物語の中でケアーと併走する形で恋人ドーンの存在が丁寧に描かれている。彼は 最愛の恋人ドーン・ステイプルズ(エミリー・ブラント)との情熱的な関係の中で、次第に極限へと追い詰められていく。
格闘技を普段見ない私には顔を狙った攻撃や相手が痛がるところを徹底的に潰しにいく姿がどうしても痛々しくて怖かった。それでも、彼らは「勝利」にこだわり結果が全て。躊躇したら負けてしまう。なんの迷いもためらいもなく相手が倒れるまで攻め続ける。身体はどれだけ鍛えてもボロボロになり、痛みを和らげる為に使い始めた薬に徐々に依存していく。そんな恋人を影で支え続けるドーンの姿は健気で心配のたえないいつも緊張状態にいるように感じた。そんな彼女の精神状態までも全てをエミリー・ブラントは演じきっていた。エミリー・ブラントは「プラダを着た悪魔」以降ずっと注目し続けている女優で「プラダを着た悪魔2」も5月公開で同じ月に2度全く違う彼女に会えるのはファンには最高に嬉しい。
これは単なる格闘技映画ではない。最強を求めた男が、自分の内側にある「弱さ」と向き合い、本当の意味で自分を取り戻していくまでの、あまりに痛々しく、そして美しい再生の記録だ。
勝利の歓声が消えた後の静寂の中で、男は何を想うのか。筋肉という鎧を脱ぎ捨てた「ロック様」の真実の叫びを、その耳で、その目で確かめてほしい。
(文/杉本結)
『スマッシング・マシーン』
5月15日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督・脚本:ベニー・サフディ
出演:ドウェイン・ジョンソン、エミリー・ブラント、ライアン・ベイダー、バス・ルッテン、オレクサンドル・ウシク/大沢たかお、石井慧、光浦靖子、布袋寅泰 ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2025年/アメリカ/123分
公式サイト:https://happinet-phantom.com/a24/smashingmachine/
予告編:https://youtu.be/exfZRlGTiZI?si=qVSr634xBfUJ2iIv
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