もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2025年04月号

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(4/25公開)より

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』四十四回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
04月公開の映画からは、この四作品を選びました。

『片思い世界』(04月04日公開)
公式サイト:https://kataomoisekai.jp/
予告編:https://youtu.be/Ynj1paGfQg8?si=KC-agCSOPXNQtLeL

main_kataomoisekai.jpg『花束みたいな恋をした』の脚本・坂元裕二と監督・土井裕泰が再びタッグを組み、朝ドラ主演俳優がトリプル主演している映画『片想い世界』。
 古い一軒家で一緒に暮らす美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)。芝生に寝転んでゆっくりと歩いている亀を見ていたり、互いの身長を測って家の柱に線を引いたり、ホラー映画をテレビで見ているなど仲良しな姿があります。
「聴こえますか? あなたの大切な人に会うんです。そして、想いを届けてください」というラジオから聴こえた声に彼女たちの気持ちは動かされていくようです。
 ここからは妄想です。三人が小学生ぐらいだった頃に誰かが救急車で運ばれるような事故なのか事件が起きたシーンが予告編にあります。また、彼女たちが探していたらしき人物の青年(横浜流星)と美咲が涙を流しながら抱き合っている場面も見ることができます。
「誰も観たことのない、究極の片思い」というキャッチコピーも気になります。彼女たちが小学生だった頃に先生になんらか暴力や虐待を受けていて、それを知った他の先生が行動に起こした。そして、彼女たちは救われたが、その先生の子どもは施設に入ることになった。その子どもが青年で、彼に彼女たちが長年伝えたかった思いを伝える、というラストではないでしょうか?

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『片思い世界』
4月4日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:東京テアトル、リトルモア
© 2025『片思い世界』製作委員会

『終わりの鳥』(04月04日公開)
公式サイト:https://happinet-phantom.com/tuesday/
予告編:https://youtu.be/D_cmqIXtNmE

メイン_終わりの鳥.jpg スタジオ「A24」が世に放つ新作は、今作で長編監督デビューを果たすダイナ・O・プスィッチによる『終わりの鳥』。
 母親のゾラと暮らす余命わずかな15歳の少女・チューズデーの前に「デス」という名の命の最後を知らせる一羽の鳥が舞い降りてきた。
「マダム、あなたの娘は死ぬ」と宣告するデス。デスを抱きしめながら「殺さないで」という少女に「やらねば」と答える姿もあり、どうやらチューズデイだけに死の宣告をしにきたわけではなさそうです。また、デスはその大きさを変幻自在に変えられるようですが、母親もなぜか巨大化している場面も予告編では見ることができます。
 ここからは妄想です。「どんな生き物にも"終わり"がある。誰にも避けられない。"私"を」というデスのセリフが予告編にあります。母親が大きくなって、娘を背負って歩いているシーンもあり、母親も何かの能力を得たようにも見えます。
 もしかすると、母親はデスと交渉をしてその能力を分けてもらう。その代わりに誰かの死を宣告することで、娘の命を先延ばしにしてもらっているのかもしれません。
 ラストは死を迎えたチューズデイを看取ろうとした母がデスを殺そうとして、逆に取り込まれてしまう。その想いに触れたデスが母親の残り時間を娘に引き継ぐというちょっとだけ感動できる終わりはどうでしょうか?

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『終わりの鳥』
4月4日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©DEATH ON A TUESDAYLLC/THE BRITISH FILM INSTITUTE/BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2024

『マインクラフト/ザ・ムービー』(04月25日公開)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/minecraft-movie/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=d0PziCh5jmk

JP-photomain-MC_High_Res_JPEG.jpg 世界中で大人気のゲームをハリウッドが"異世界転送ファンタジー"として実写映画化した『マインクラフト/ザ・ムービー』。
 すべてが四角形でできた異世界「オーバーワールド」に転送されてしまったギャレット(ジェイソン・モモア)、ナタリー&ヘンリー姉弟、ドーンの四人。
 先住転送民のスティーブ(ジャック・ブラック)がこの世界では「想像したものが何でも創れる!」と教えてくれる。
 しかし、「ネザー」という創造が許されない場所から「オーバーワールド」を破壊しようと四角モンスターたちが迫り来る様子も予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。スティーブが「ネザー」を発見したようにも見えるシーンも予告編にあります。五人の活躍で「オーバーワールド」の平和は守られるはずです。しかし、最後にはスティーブがその責任を取って、「ネザー」の新しい王となり、創造が許されない場所からクリエイティビティ満載な世界に作り替える。そして、「オーバーワールド」と「ネザー」による想像&創造合戦が起こって、四人はその戦いに巻き込まれて現実世界に帰れるというラストはどうでしょうか?
 予告の最後には車に轢かれている四角形のキャラクターがいるので、現実世界に「オーバーワールド」が侵食してきて、続編を匂わす終わり方かもしれません。

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『マインクラフト/ザ・ムービー』
4月25日(金)全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(04月25日公開)
公式サイト:https://kyosora-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/jjtMa4wZHi4?si=7VM_3ZgZYC7m3gv3

kyosora_teaser_pub_main_FIX.jpg お笑いコンビ・ジャルジャルの福徳秀介が手がけた恋愛小説を、『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』の大九明子監督が映画化した『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』。
 冴えない大学生活を送る小西(萩原利久)はある日、お団子頭の桜田(河合優実)と偶然出会う。「はじめて桜田さんを見かけた時すべてにびっくりした」「私たちセレンディピティだなって」という小西と桜田のセリフなど、二人の距離は一気に縮まっていくようです。
 小西のバイト先の銭湯で一緒に働いているさっちゃん(伊東蒼)が「今まで私の気持ち気づかへんかったん。もう小西くんのこと好きちゃうから安心して」という青春すぎる場面も予告編にあります。
 ここからは妄想です。小西が泣き叫んでいるシーンもあります。さっちゃんの涙の告白によって、彼女を振ることができずに付き合うことになってしまう。しかし、自分の気持ちには嘘がつけずにラストは桜田に気持ちを伝えるために彼女を振ってしまい、自己嫌悪で泣き叫んでいるのかもしれません。
 桜田が「今日の空が一番好きって思いたい」と言っているシーンがあり、タイトルは「とまだ言えない僕は」と繋がるので、小西が彼女の元に向かってその言葉を言った瞬間に終わる、そんな爽やかさを感じさせるラストではないでしょうか?

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『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
4月25日(金)全国公開
配給:日活
©2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会


文/碇本学

1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

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