個性や才能は必要ない!? ヒット作連発の作家が"創作の秘訣"を惜しみなく明かす!

超合理的!ミステリーの書き方 (幻冬舎新書 742)
『超合理的!ミステリーの書き方 (幻冬舎新書 742)』
中山七里
幻冬舎
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 デビュー以来、『さよならドビュッシー』や『護られなかった者たちへ』、『嗤う淑女』など、数々のヒット作やシリーズを生み出してきたミステリー作家の中山七里さん。三カ月に一冊以上というハイペースで書き続けていることから、「普通の人とは違う思考の持ち主なのでは」と感じる人も多いのではないでしょうか。

 そんなベストセラー作家の創作術を余すことなく知ることができるのが、今回ご紹介する『超合理的! ミステリーの書き方』です。

 作家というと、天才肌や芸術家タイプが多い職業に思えますが、本書を読むと中山さんは徹底した職人気質であることがわかります。

「僕は作家になってからこの十三年間、新作のたびに毎回三日三晩唸りながら考えたものを二000字のプロットにまとめて出す、というのを繰り返しています」(本書より)

 プロットの段階でテーマ、ストーリー、登場人物、トリックの順で決めていけば、執筆中に行き詰まることはないといいます。トリックを最後に考えるというのが、量産するためのコツ。こうして一日に原稿用紙二十五枚分、二日で五十枚と、小説誌の連載一回分にあたる量を書き上げているといいます。執筆中のシーンによって筆が進んだり、逆に進まなかったりなんてことも一切なし。

「ノッたからたくさん書けるとか、ノらなかったから書けないなんて、ふざけるなって話ですよ。だってサラリーマンが『今日は気分がノらないから仕事したくない』っていうのと一緒でしょう」(本書より)

 この発言は、中山さんが会社員として働いていた経験があるからこそ出てきたのかもしれません。

 このように、作家に個性や才能は不要と中山さんが言い切る理由は、他の箇所からもうかがえます。たとえば、驚かされたのが「自分で書きたいものなんてひとつもない」という点。作家は誰しも書きたいテーマにあふれているのかと思いきや、「自分で書きたいものと、世の中が求めるものがいつも一緒とは限らないですから」(本書より)とのことです。

 また、作家たるもの、執筆の際には取材旅行に出かけるものかと思いきや、中山さんは取材を一切したことがないそうです。「取材しなければ書けないというのは、極端なことを言えばインプットの量がないから」(本書より)で、「ある程度の知識があれば、想像したことは必ず真実に近くなる」「場所については、地図を見るんですよ。地図を見て普遍的に考えてみると、だいたいのことは分かります」と、インプットの大切さを語ります。たしかに、実際に現地に行かないと文章にできないのなら、歴史小説などは誰も書けなくなってしまいますね。

 なぜここまでハイペースに作品を量産できるのか、その秘密が詰まった本書は、ミステリーを書きたい人、作家を目指している人にとっては必携の書となることでしょう。また、版元(クライアント)と読者(客)の期待と要望に応え続けるには何をすべきかについては、作家以外の仕事に就いている人にとってもヒントになる部分が多いのではないでしょうか。

[文・鷺ノ宮やよい]

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