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スクリーンでぜひ観て!『壁越しの彼女』

『壁越しの彼女』 8月23日(金) シネマート新宿ほか順次公開

この夏、素敵なラブストーリーを鑑賞したい人におすすめ!
マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルという映画祭を知っているだろうか? 2024年現在、14回目の開催が行われた映画祭。この映画祭、自宅から誰でも参加できる映画祭というのが驚きだ。コロナ禍や配信サービスの普及でオンライン視聴も今では当たり前になってきたが、この映画祭が始まった当時はまだ配信サービスも今ほど種類もなかった。

そんな画期的な映画祭で2014年に出品された『ブラインド・デート』という作品。当時、カフェでコーヒーを飲みながら90分この作品を携帯電話で鑑賞した。
そして、「スクリーンで観たい。スクリーンで観られないことが残念だ。コメディとして出品されていたがこれは最高の恋愛映画」。そうメモを残していた。そして、題名の意味を調べていた。

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日本では当時も今もまだあまり聞きなれない言葉だが、ブラインドデートとは友人の紹介で出会う婚活のことで、初めて会う時から2人で会うという方法が主流だ。日本のようなお見合いよりもシンプルでラフなスタイルのようだ。

そんな、どうしてもスクリーンで観てみたかった『ブラインド・デート』のリメイク版が今回紹介する『壁越しの彼女』。鑑賞時、リメイク版とは知らずに観た。だけど、この設定に当時のカフェの記憶が蘇ってきた。

歌手になる夢のためオーディションを控えるスンジン(イ・ジフン)。
幼馴染たちと苦労して探した部屋で、引っ越し初日の夜を過ごそうとした瞬間、どこからか聞こえてくる女性の泣く声! 声の正体は、防音がなされていない家のせいで、さまざまな方法で引っ越してきた隣人を追い出していたラニ(ハン・スンヨン)の妨害工作!
しかし、スンジンは簡単に怯む相手ではなかった!
壁を越えて行き来する奇想天外な騒音バトルの末に、大きな音を出すときは4時間ずつ交代制にする条件のもと、同居ではない同居が始まる。
名前も顔も知らない互いの日常を共有し、2人は徐々に微妙な感情を抱いていくのだが......。

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名前も顔も知らない隣人とのラブコメディ。普通に隣で話してるのかなくらいに、壁があるはずなのにお互いの声が筒抜けで、実際にそんなことがあったら嫌だと思うけど、徐々に心を許し合っていく2人の様子を見守ることで全く嫌ではなくなってくる。
それよりも、早く隣の部屋に行かないのかな?という焦れったささえ感じ始める。いつのまにか、観客は2人の恋を応援しているのだ。

結末がエンドロールまで続く構成も最高だった。恋愛映画を観たい人はぜひ劇場でお楽しみください。

(文/杉本結)

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『壁越しの彼女』
8月23日(金) シネマート新宿ほか順次公開

監督:イ・ウチョル
出演:イ・ジフン、ハン・スンヨン、コ・ギュピル、キム・ユンソン、イ・ユジュン
配給:クロックワークス

原題:빈틈없는 사이|英題:MY WORST NEIGHBOR
公式サイト:https://klockworx.com/movies/neighbor/
予告編:https://youtu.be/kpfeRs696gs?si=XXSdcsBAJWYHwKBI
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