移住トラブルにご注意を！『理想郷』

今回紹介するのは移住トラブルについての映画。それだけかと思いきや、後半からは夫婦の愛、特に妻から旦那への愛の形が言葉ではなく行動で示される形になっている点がとても好感のもてる作品だった。

日本国内でも、コロナ禍で住んでいた土地から少し田舎に移住する人が増加傾向にある。
田舎の土地は安く、広々とした家に住めたり、過疎化が進行している地域を再び発展させていこうと様々な取り組みがなされている地域も多い。

夢を持って移住してくる人と、その土地の閉鎖的な空気の中でよそ者を受け入れることが出来ない人との争いが、本作では描かれている。

このトラブルは、日本でも最近増加しているトラブルらしい。移住するということは『よそ者』になるということなのだ。
自分は良かれと思ってやっていることもその土地に住む人の考えと合わないこともあるのだろう。

引っ越しを何度もしていくつもの土地に住んだことがある筆者は確かにその土地、その土地で日本国内でも常識とされることが全く違ったことを体感している。自分の常識が崩壊することもある。自分にとってちっぽけなことがその土地ではとても大切なことだったり、住んでみないとわからないことがたくさんあるのだ。

本作のように違う国への移住となればなおさらだろう。
住めば都となればいいのだが、自分たち家族だけが幸せというだけではうまくいかない。住む環境は人生を大きく変える転機となるとよくわかる作品だった。

（文／杉本結）

＊＊＊

『理想郷』
11月3日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開

監督：ロドリゴ・ソロゴイェン
出演：ドゥニ・メノーシェ、マリナ・フォイス、ルイス・サエラ、ディエゴ・アニード、マリー・コロン ほか
配給：アンプラグド

原題：AS BESTAS／英題：THE BEASTS
2022年／スペイン・フランス／138分
公式サイト：http://unpfilm.com/risokyo/
予告編：https://youtu.be/VkgmxPaMNTI?si=jxdC_IyFgc2qmrnz
© Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.