もやもやレビュー

原作はビートたけしによる同名小説『アナログ』

『アナログ』 10月6日(金)全国公開

手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟(二宮和也)。携帯を持たない謎めいた女性、みゆき(波瑠)。喫茶店「ピアノ」で偶然出会い、連絡先を交換せずに「毎週木曜日に、同じ場所で会う」約束をする。

2人で積み重ねるかけがえのない時間。悟はみゆきの素性を何も知らぬまま、プロポーズする事を決意。しかし当日、彼女は現れなかった。その翌週も、翌月も...。
なぜみゆきは突然姿を消したのか。彼女が隠していた過去、そして秘められた想いとは。
ふたりだけの"特別な木曜日"は、再び訪れるのか――。

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連絡先を交換しないで口約束で待ち合わせ場所へ向かう感覚。現代の若者にはこの感覚がなくなりつつあるのではないだろうか。筆者の幼稚園生の娘でさえ、友達と遊ぶ約束したから友達のママに連絡してと私に頼んでくる。

この作品の舞台は携帯電話の普及していない時代ではない。だけど、みゆきは携帯電話を持っていない。いったい、みゆきという女性の秘密とはなんだろうと引き込まれていく。
私たちは、目的地がわからない時にスマートフォンで検索して地図を見ながら到着する。だけどみゆきは、あっちやこっちへウロウロと冒険を楽しむ子供のように目的地を探す。そんな姿が印象的だった。

携帯電話があればいつでも連絡がとりあえる。そんな時代に決まった時間に「会う」という口約束だけの関係がもどかしくもあり、懐かしさもあった。
大切な人とただただ一緒にいられる瞬間って大切だなと思い出させてくれる一作だ。

(文/杉本結)

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『アナログ』
10月6日(金)全国公開

監督:タカハタ秀太
原作:ビートたけし『アナログ』(集英社文庫)
出演:二宮和也、波瑠桐谷健太、浜野謙太/藤原丈一郎(なにわ男子)、鈴木浩介 板谷由夏、高橋惠子/リリー・フランキー
配給:東宝、アスミック・エース

2023/日本映画/120分
公式サイト:https://analog-movie.com/
予告編:https://youtu.be/mBCV1ef6CyM?si=7PwhoavQaDK-ZxYY
©︎2023「アナログ」製作委員会 ©︎T.N GON Co., Ltd.

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