もやもやレビュー

【無観客! 誰も観ない映画祭 第58回】『ゾンビライダー』

ゾンビライダー [DVD]
『ゾンビライダー [DVD]』
ハリー・カークパトリック,ニコラス・デ・トス,マイケル・パークス,ジョン・サクソン,クラウディオ・シモネッティ
株式会社コロメディア
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『ゾンビライダー』
1989年 イタリア・アメリカ 90分
監督・脚本/ハリー・カークパトリック
出演ニコラス・デ・トス、サラ・バクストン、ジョン・サクソン、マイケル・パークスほか
原題『NIGHTMARE BEACH』

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 今年の夏は灼熱すぎるので、頭カラッポにして80年代のバカホラーを楽しんでください。この作品が製作された80年代はゾンビ映画が大人気。日本のビデオメーカーは原題に入っていない「ゾンビ」をタイトルにくっ付け、セールスを上げるのに必死でした。この『ゾンビライダー』も、原題は『NIGHTMARE BEACH』です。

 監督のハリー・カークパトリックとは、実は『食人帝国』(80年)や『人喰族』(84年)といった人食い人種モノ、はたまたブルース・リー(ソックリさん)が墓場から蘇る『秘録ブルース・リー物語』(78年)などのカルト映画でマニアには有名なイタリアのウンベルト・レンツィその人。『ゾンビライダー』の出来があまりにも酷かったので偽名にしたそうです。って、内容を紹介する前に「酷い」って書いちゃいましたよ(笑)。レンツィ監督は大手ヒット作の便乗作品を悪くない作品に仕上げてしまう、ある意味イタリア人らしい映画職人としてマニアに愛されてます。そんな彼にとって『ゾンビライダー』は、お気に召さなかったようです。

 音楽はイタリアのプログレロックバンド「ゴブリン」のリーダー、クラウディオ・シモネッティが担当しています。彼が作曲した『サスペリア』(77年)と『ゾンビ』(78年)のテーマ曲は映画音楽史に残る名曲。『サスペリア』なんて、消灯した深夜の部屋で一人で聴けませんよ(ガタブル)。


 舞台はフロリダのマナティ・ビーチ。春休みの若者たちで大賑わいです。酒! ナンパ! ロック! 真っ昼間から公共の場だというのに、ビーチの特設ステージでは順番にギャルが上がってトップレスショーをやってます。真偽はともかく、こういった洋画を見て育った日本人は、「アメリカって開放的だなあ〜」と思い込んでいるのですよ。

 一方刑務所では、地元の暴走族デーモンズのメンバーで、連続少女殺害犯ディアブロの電気椅子による死刑が執行されようとしていました。そして何とその様子に、ガラス越しに被害者遺族と死刑囚の親族が立ち会えるのです(ほか司法・警察・宗教・報道関係者など)。日本では考えられませんね(汗)。しかもマイクを通して死刑囚の言葉を聞くことができ、ディアブロは「俺はやってない! お前ら絶対に呪ってやる!」と末期の言葉を、妹を殺されたゲイル(本作のヒロイン)や自分を逮捕したストライカー警部に聞かせてから、ビリビリ! ガクッと絶命するのでした。この一度見たら忘れない強面のストライカー警部に扮したジョン・サクソンは、『燃えよドラゴン』(73年)でブルース・リーと共闘したローパー役ほか、様々なアクション映画やSF映画でよく見る国際的俳優です。

 さて翌朝、墓地からディアブロの遺体が盗まれます。空っぽの棺を見つめるストライカー警部は、ディアブロの処刑に立ち会っていた牧師から「復讐のため蘇ったのかもしれない」と言われゾッとします。その夜、ヒッチハイクしていた若い女の前にクリムゾンレッド色の大型バイクが停まります。黒革スーツを着込んだライダーは無言で女を乗せ、猛スピードで人けのない進入禁止エリアに連れて行きます。無防備すぎますね、女。謎のライダーが何かのスイッチを押すと、後部座席からバチバチと火花が散って女は感電死してしまいます。バイクの後部座席は電気椅子になっていたのです。謎のライダーは、黒焦げになった女の死体をその場に放置して走り去るのでした。

 そんな波乱含みのビーチに、2人の大学生フットボーラーがやって来ます。主人公のスキップはドラフト1位候補ですが、ケンカっ早いチームメイトのロニーが早速デーモンズとモメます。そこへ「ディアブロの死体がなくなったぞ」とストライカー警部が現れ、驚いたデーモンズは解散します。やれやれと2人がバーに入店すると、カウンターレディはディアブロに妹を殺されたゲイルでした。ロニーがナンパしに店内を物色中、その空いた席に座ってスキップをナンパしてきたのは、牧師の娘レイチェルでした。飲酒や朝帰りなど何かと生活態度を注意するパパがウザくて反抗期中の18歳です。ヤリマン不良娘の誘いを拒否る誠実そうなスキップをカウンター越しに見ていたゲイルは、彼に好感を持ったようです。

 翌日、町でナンパしていたロニーは路地裏でデーモンズの集団リンチを受けた後、そこに現れた謎のライダーによって感電して炎上してしまいます。警察署でロニーの黒焦げ死体を囲むストライカー警部、アル中の検死医、保身に必死な市長の3名。2人目の感電死体にストライカー警部は、「ディアブロが蘇ったのか......」と牧師の言葉を思い出します。結局、騒ぎにより客足が遠のくのを危惧した市長の「旅行者が1人くらいいなくなっても、どうせ誰も気付かない」というアバウトな意見により隠蔽が決定。ロニーの死体は廃鉱に埋められるのでした(泣)。

 死刑囚ディアブロがゾンビとなってバイクにまたがり殺人を重ねる。なのでゾンビライダーでしたか。こうなるとゾンビライダーの猛攻は止まりません。スキップが泊まるホテルで壁に穴を開けて女性客を覗いていたフロント係のハゲ親父は、首にワイヤーを巻き付けて絞殺。金持ちそうな中年男を複数たらし込んでパパ活している女には、口の中に高圧電流の流れた電気ケーブルを突っ込みビリビリ。キャンパーの若い女は溶鉱炉で真っ黒焦げの骸骨にし、市庁舎の前に放置。観光客で賑わうビーチでの連続殺人に市長はマスコミの対応に追われ、ロニー殺害の隠蔽に加担した検死医はノイローゼになり拳銃自殺します。

 ストライカー警部は、一連の連続殺人犯をでっち上げようとデーモンズのヘッドを不法逮捕します。これが引き金となりデーモンズが立ち上がり、警察署を襲撃しヘッドを救出するのでした。しかしその頃、それに出遅れてアジトで1人飲んでいたデーモンズの女がゾンビライダーに襲われ、通電している電線の先を頭にビリビリされ右目を飛び出して感電死します。でもディアブロが味方を襲うのはおかしいですね......。そんな事態になっているのを知らないストライカー警部は、ロニーの死に対する市ぐるみの隠蔽工作を知ったスキップの口を封じるためナイフで殺そうとしていました。そこへデーモンズが参上し、ヘッドがいきなりストライカーを銃撃し「立て! 鳥のタマキン野郎!」って、どんな例え? ストライカー警部は足に鎖を繋がれ「キャッホー!」とバイクで引き摺り回され絶命するのでした。仲間の復讐を果たしたデーモンズは結果的にスキップを助け、颯爽と去っていきます(ちょっとカッコイイ?)。

 その頃、ストライカー警部が連続少女殺人犯と思い込んでいたゲイルは、スキップと待ち合わせていた廃屋でディアブロの死体を発見します。「何でここに!?」と驚いているゲイルの前にゾンビライダーが出現し、バイクの電気シートに力尽くで座らせようとします。必死に抵抗するゲイルとゾンビライダーが激しく揉み合い、ヘルメットが脱げ落ちます。その正体は......何と牧師でした! 「ふしだらな娘め。妹と同じだな。堕落した罪びとだ」。教会を家としながら神を冒涜し、父親の言うことを全く聞かないビッチな娘を持つ聖職者としての憤りが、不純異性交遊する町の少女らに向けられた。さらに牧師はディアブロの死を利用し、ゾンビライダーとして町の粛正を進めていたのです。ゲイルは牧師に首を絞められ絶体絶命ですが、そこへスキップが参上。しかし白髪交じりの中年なのに、なぜか牧師はガタイのよい現役フットボーラーより強い! リアリティありませんが、映画としては緊張感のある見せ場を作らなくてはならないのでしょうね。劣勢のスキップを助けようと、ゲイルは後ろから鉄棒で牧師の頭を殴ります。逃げる2人を牧師はバイクで追いかけますが、焦って何かに追突し、その勢いでシートからピョーンと高く飛び出し、高圧電線に触れてビリビリ! 最期は自分が黒焦げになって死ぬのでした。


 当時のビデオジャケット裏の解説文と、昨年の2025年になってようやくDVD化(日本コロメディア)された際のレビューには「死刑台に送られた凶悪犯が墓場から蘇り、バイクにまたがり次々と無差別殺人を犯していく」と書いてありました。大ウソでしたね(笑)!

【著者紹介】
シーサーペン太(しーさー・ぺんた)
酒の席で話題に上げても、誰も観ていないので全く盛り上がらないSF&ホラー映画ばかりを死ぬまで見続ける、廃版VHSビデオ・DVDコレクター。「一寸の駄作にも五分の魂」が口癖。

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