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働くすべての人へ!『アシスタント』

『アシスタント』 6月16日(金)新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

#Me Too運動を知っていますか? セクハラや性的暴行などの性犯罪被害の体験を告白・共有する際にSNSで使用されるハッシュタグで、「私も被害者である」という意味で「私も」を意味する英語にハッシュタグをつけて投稿されるもので、2017年にアメリカで始まり世界中に広がった。
今回紹介する本作では、主人公ジェーンが将来に希望をもって就職した会社で起こった問題をリアルに描いている。

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名門大学を卒業したばかりのジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。
業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日。常態化しているハラスメントの積み重ね......。しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっている。ある日、会長の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に対して立ち上がることを決意したが----。

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本作、主人公のジェーンの気持ちになって観てしまいがちな作風になっている。会社になんらかの不信感や違和感を感じている人にはもちろん刺さるし観て欲しい。だけど本当に観て欲しいのは、告発をされたら困るなにかをもっている上司という立場にある人! または上司のそういった弱味に気づきながらも知らないふりをしている中間層の人たち。
どの立場にいてもその人なりの意見があるだろうと思うけれど、新しい才能の芽を自分たちの事情で摘み取ってはいけないと強く感じる作品だった。

本作の主人公ジェーンを演じたジュリア・ガーナーは最近大注目の女優だ。Netflixのドラマ『令嬢アンナの真実』で主人公アンナ役にも大抜擢された。本作、アンナはゴシップガールを彷彿とさせるほどのハイブランドを着こなす超セレブのご令嬢。だけど本当は詐欺師?一体アンナの正体とは?というストーリー。 彼女の演技今後も目が離せないので映画と合わせてチェックしてみてもいいかも。

(文/杉本結)

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『アシスタント』
6月16日(金)新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

監督・脚本・製作・共同編集:キティ・グリーン
出演:ジュリア・ガーナー、マシュー・マクファディン、マッケンジー・リー
配給:サンリスフィルム

原題:The Assistant
2019/アメリカ/87分
公式サイト:https://senlisfilms.jp/assistant/
予告編:https://youtu.be/DZi2HrcVtwk
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