もやもやレビュー

『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』を見て、何事もほどほどが良いと思った。

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)』
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 全世界で大ヒットを記録した『ダ・ヴィンチ・コード』で有名な作家ダン・ブラウンの小説『インフェルノ』の出版時に、違法流出を防ぐために翻訳家たちを地下室に隔離して翻訳を行ったという実話がもとになっている本作。監督は『タイピスト!』のレジス・ロワンサル。

 世界的ベストセラー『デダリュス』三部作の完結編『死にたくなかった男』の出版権を独占的に獲得したアングストローム(ランベール・ウィルソン)。彼は9か国の翻訳者をフランスの豪邸に集め、携帯電話やパソコン等すべての通信機器を没収し、地下室で隔離生活を強います。

 小説の流出を防ぐために、警備員が監視し、毎日20ページだけ渡される原稿を翻訳し、1ヶ月で仕上げ、次の1ヶ月で推敲するいう過酷なスケジュールが言い渡されます。食事は豪華で週1日の休日のための娯楽施設も完璧ですが、完全に世間から隔離された生活でした。

 そんな中、原稿が流出される事件が起きます。アングストロームの携帯電話に、「冒頭10ページを流出させた。500万ユーロで損失は止められる。24時間以内に払わないと明日次の100ページもネットで公開する」と脅迫メールまで届きます。

 原稿にアクセスできるのは、作者のオスカル・ブラックと、アングストロームだけ。翻訳者の犯行だと確信したアングストロームは、翻訳作業を中止し、犯人探しを始めますが、銃さえつきつけたさらなる厳格な監視のもと、第二の流出が実行されます...。

 105分という短い時間ですが、サスペンスのストーリーとしてもめちゃくちゃ面白いです。犯人は本当に翻訳家の中にいるのか、その正体は。また過酷な犯人探しの中、命を落とす者も現れ......。
翻訳家たちの個性やそれぞれの抱えるものも垣間見られ、また、犯人は原稿をどうやって入手したのかが明かされるシーンも必見。物語の途中で、アングストロームが刑務所で誰かしかと会話するシーンがでてくるなど、見終わった後で見返したくなること間違いなしです!

 それにしても、欲望に駆られて人がおかしくなる様子がもろに描かれていて、何事もほどほどが良いのだとつくづく思いました。お金は欲しいけども。

(文/森山梓)

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