もやもやレビュー

ネットで話題沸騰した実話小説がついに実写化『あなたがここにいてほしい』

『あなたがここにいてほしい』 7/22(金)より シネマート 新宿 ・心斎橋 ほか全国順次公開

本作は昨年中国でのバレンタインデーにあたる恋人の日(5月20日)に公開され、他の恋愛映画を圧倒し大ヒットとなった作品である。今年の5月20日にも公開1年を記念して再上映がはじまり、興行成績でも最高位2位にランクイン。ネットに投稿された実話小説を元に2人の10年に及ぶ愛の記憶が記された作品となっている。

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10年愛なんてどこにでもある。それでもこの作品が魅力的なのは2人が身近にいそうなカップルでとても親近感がわく点にあるように感じた。
学生時代にヒロイン、イーヤオに一目惚れしてからずっとずっと彼女の幸せを考えて生きているチンヤンはどこにでもいそうな普通の男性だが、男女どちらの目線からみても魅力的だ。だけど、2人には別れるには充分すぎる試練が何度も何度も降りかかる。チンヤンが仕事でうまくいかなくなった時に恋人のイーヤオがどのような行動をとるのか。
陰ながら恋人を支える?一緒に落ちていく?よくある選択肢を想像したら全く違う彼女なりのアンサーがそこにはあった。
身近で親近感がわくという人がいる一方で、物申したい気分になる人もいるかもしれない。この時の彼女の行動については映画を観た後の話題となる場面かもしれない。

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2人共に感情表現が不器用で本音を言わないけれど通じ合っている。そんな電話のやりとりの言葉は『愛してる』という台詞を言うよりもずっと愛を感じるシーンとなっている。
ストレートな感情表現が苦手な日本人にはとても共感しやすい場面だったと思う。

2人の未来を考えた時にマンション購入を夢みるシーンは中国の結婚事情が良く表現されていた。夢と現実の差が大きいことが結婚の障害になるのは社会問題ともいえる。

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最後にこの映画の最大の魅力であり素晴らしいと感じたのはエンドロール。ストーリーと同じ土俵にいるような感覚になる素晴らしさを感じることが出来た。
エンドロールが流れると、帰り支度を始めたり実際に帰ってしまう人もいる。だけど本作のエンドロールはストーリーの一部ともなっているような、作品との一体感に感動した。ストーリー全体をエンドロールの音楽を聴きながら思い返して、今後の2人の未来を想像する時間。素敵な余韻を味わえた。ストレートな恋愛映画の中に潜む社会問題もリアルで、あっという間の105分であった。

(文/杉本結)

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『あなたがここにいてほしい』
7/22(金)より シネマート 新宿 ・心斎橋 ほか全国順次公開

監督:シャー・モー(沙漠)
出演:チュー・チューシアオ (屈楚蕭)、チャン・ジンイー(張婧儀) ほか
配給:リスキット

2021/中国/105分
公式サイト:https://anakoko.jp
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