もやもやレビュー

現代女性を見事に切り取った!『わたしは最悪』

『わたしは最悪。』 7月1日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

『母の残像』『テルマ』などで注目されるデンマークのヨアキム・トリアーがメガホンをとった本作。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女優賞を受賞、2022年・第94回アカデミー賞では国際長編映画賞と脚本賞の2部門にノミネートされた異色の恋愛ドラマです。

20代になり自分が本当にしたいことを探す主人公のユリヤ。あれやこれや挑戦するもなかなかしっくりとくる仕事に出会えずにいた。
年上の恋人アクセルはグラフィックノベル作家として成功し、最近しきりに身を固めたがっている。ある夜、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、そこで若く魅力的なアイヴィンに出会う。

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本作のなかでユリヤは、仕事に活路を見いだそうとしながらも、結局は恋愛を中心に生きていく。30代になっても結婚や子どもを望むことはないけれど、自分をワクワクドキドキさせてくれる人や出来事を探し続ける。そんなユリヤのような人は現代社会に増えてきているのかもしれない。

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ユリヤがアイヴィンと出逢った時、2人は言葉もかわさずユリヤが吸うタバコの煙をアイヴィンが吸い込むというシーンがある。これがとてつもなくお洒落であり、今までにみた中でも最高に印象的な喫煙シーンとなった。
2人は名前もわからないままに別れるというシーンも、実際にありそうなシチュエーションだと思った。さらに、ユリヤがアイヴィンのことを考えて時間が止まる妄想シーンもとても面白い作り込みがされていた。

自分らしさを追い求めることと恋愛という普遍的なテーマが、まさに今、現代版として描かれていた。今っぽい女性のリアルが見事に描きぬかれた傑作。

(文/杉本結)

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『わたしは最悪。』
7月1日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

監督:ヨアキム・トリアー
出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバード・ノードラム ほか
配給:ギャガ

原題:The Worst Person in the World
2021/ノルウェー、フランス、スウェーデン、デンマーク/128分
公式サイト:https://gaga.ne.jp/worstperson/
(C)2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VAST - SNOWGLOBE - B-Reel - ARTE FRANCE CINEMA

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