『サマーフィルムにのって』を観て、自主映画のよさを思い出す
8月6日(金)より、新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開中
僕は青春映画が大の好物だ。なぜなら青春映画には傑作が多いからだ。『サマーフィルムにのって』もまごうことなき青春映画だ。
季節は夏。高校の映画部に所属する主人公の女の子、ハダシ(伊藤万理華)が、映画部で大勢を占める恋愛キラキラウェイウェイ映画に反旗を翻し、自分が大好きな時代劇映画を、周りを巻き込みながら制作していく。
ハダシが時代劇映画の主人公に抜擢した男子は、なんと未来から来た人間だった。未来ではハダシは大御所監督になっていて、高校時代に作ったこの映画は、幻の映画として欠品になっていた。そしてーー。
自主映画ってなんであんなに青春っぽさが漂うんだろう。たぶん、何かが欠けていて、未熟で、未完成で、それが青春の要素を醸し出していて、しかし、絶妙な魅力となって放たれているからなんだろう。そして自主映画を作るという行為そのものが、青春に他ならないからだろう。
『サマーフィルムにのって』からはそんな、自主映画の香りが仄かに漂ってくる。劇内で作っている映画も自主映画だけど、映画そのものにもその要素が乗り移っているようだ。そんなある種のぎこちなさが、大きな魅力になっている。映画のなかで役者たちが成長していっているのがわかる。
夏に青春を感じたい、青春が出来なかったすべての大人に贈る傑作青春映画です。
(文/神田桂一)
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『サマーフィルムにのって』
8月6日(金)より、新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開中
監督:松本壮史
出演:伊藤万理華、金子大地、河合優実、祷キララ、小日向星一、池田永吉、篠田諒、甲田まひる、ゆうたろう、篠原悠伸、板橋駿谷
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2020/日本映画/97分
公式サイト:https://phantom-film.com/summerfilm/
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