イ・ヨンエ復帰作!『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』 9月18日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
本作は、6年前に行方不明になった息子ユンスを捜し続ける母親ジョンヨンが主人公。当時7歳で失踪した息子の今の姿を思いながら懸命に捜索する両親だったが、父親ミョングクに悲劇的な事故が起こる。ジョンヨンはそれでも諦めずに息子を捜し続ける。ある日、息子に似た少年が漁村で働いているという情報が舞い込んでくる。すぐさま、漁村にかけつけ息子の捜索をするジョンヨンだったが、この漁村に住む町の人の様子は明らかにおかしかった。
もしも、自分の子供が突然姿を消すようなことが起こったとしたら...。
劇中で、「育児に疲れて辛かった時、一週間だけユンスと離れたい、一人になりたいと思ったことがあった。ユンスを捨てたも同然よ」と自分を責める母親の台詞がある。
子育てをしている母親なら誰しもがほんの少しの時間でいいから一人の時間が欲しいと願う瞬間があるのではないだろうか? 私は、2児の母親で近くに親なども住んでいないので毎日子供と生活をともにしている。だから、この気持ちが本当によくわかった。一週間と言わず、ほんの数時間でもひとりで出かけることは大きなリフレッシュになる。
ほんの少し自分が目を離した間に子供がいなくなってしまったらと思うと、この映画をみてから自分の死角に子供がいるということが恐ろしくて出来なくなった。私の後ろを歩きたがる子供を振り返っていなくなっていたらと思うと怖くて怖くて...。
ふとした瞬間に映画のことを思い出して、子供を抱きしめて近くにいるなと感じたくなる。それくらい影響力のある作品だった。
韓国映画が得意とする独特な不穏な空気感がこの作品にベストマッチしていた。今も世界各国で起こり続ける行方不明事件や児童労働といった現代社会の闇にきりこんだサスペンスは次の展開がなかなか読めず最後の最後まで手に汗にぎる展開だった。
(文/杉本結)
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『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
9月18日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:キム・スンウ
出演:イ・ヨンエ、ユ・ジェミョン、イ・ウォングン、パク・ヘジュン
配給:ザジフィルムズ、マクザム
英題:BRING ME HOME
2019/韓国/108分
公式サイト:https://www.maxam.jp/bringmehome/
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