もやもやレビュー

鑑賞後、手紙が書きたくなる 『チィファの手紙』

『チィファの手紙』 9月11日(金)より公開

岩井俊二監督の『ラストレター』の中国版。実は日本版と公開順は逆になったがこちらの作品のほうが先に製作されている。
亡くなった姉、チーナン宛てに同窓会の手紙が届く。妹のチィファは姉が亡くなったことを知らせるために同窓会に参加するも、姉と間違えられて彼女が亡くなったことを言い出せずに帰宅する。さらに、同窓会で初恋の相手チュアンと再会。姉のふりをして始めた文通が現在と過去の淡い恋の物語となって蘇る。

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日本版と中国版では夏から冬へと季節が変わったせいなのか、同じストーリー展開ながら雰囲気が中国版のほうがやや暗く感じた。
「手紙」というものを誰かと送りあう、いわゆる「文通」という手段が今では激減しているのではないだろうか? メールやLINE、SNSで簡単に相手と連絡を取り合うことが出来る時代に、あえて手書きのメッセージを切手代を払って、ポストに投函して、相手のところに無事に届いたかさえわからないし相手からの返事にまた何日も待って...。手間のかかる手段であるからこそ生まれる相手のことを考え気持ちをこめて送りあう「手紙」がもつ暖かみを現代の子供たちにも知ってもらいたいと思った。

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25年も前には私自身も転校などで離れた友人と文通をしていた。いつ返事がくるのか待っている間も楽しみな時間だったように思い出される。そして、手紙は大切な宝物として保存して何度も読み返すことが出来る。
それが、思いを寄せる相手とのラブレターであったとしたらどんなに素敵だろう。
面と向かって言えないことも手紙には不思議と書くことが出来る人も多くいる。
いつもは伝えられない思いをそっと手紙に託したくなる。静かに進むストーリーながら作品の中に潜む人間愛にぐっときた。
久しぶりに大切な人に手紙を送ってみたくなるような作品だった。

(文/杉本結)

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『チィファの手紙』
9月11日(金)より公開

原作・脚本・監督:岩井俊二
出演:ジョウ・シュン 、チン・ハオ、ドゥー・ジアン、チャン・ツィフォン、ダン・アンシー
配給:クロックワークス

原題:你好、之華
2018/中国/113分
公式サイト:https://last-letter-c.com
© 2018 BEIJING J.Q. SPRING PICTURES COMPANY LIMITED WE PICTURES LIMITED ROCKWELL EYES INC. ZHEJIANG

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