もやもやレビュー

家族を想いたい日に。『ステップ』

『ステップ』 7月17日(金)より公開中!

 重松清の小説「ステップ」が、連載終了から10年の時を経て映画化になりました。本作の主人公を演じたのは、「全裸監督」「闇金ウシジマくん」など、強烈なイメージをもつキャラクターを見事に演じてきた山田孝之。そんな彼が本作で演じるのは、30歳の若さで妻に先立たれ、シングルファーザーとなった健一です。山田孝之にとって、これが初めてのシングルファーザー役だそうです。

サブ1.jpg

 妻を突如亡くし、シングルファーザーとなった武田健一(山田孝之)。2歳半の娘・美紀を連れて、保育園へと向かい、父親としての役目を必死に果たします。仕事ではトップセールスマンとしてのプライドも捨てて、時短勤務が許される部署へと異動......何もかもがうまくいかない毎日を送っていました。そんな姿を見た義父の父母が、美紀を引き取ろうかと提案してくれるのですが、それでも健一は男手ひとつで育てることを決心します。

サブ2.jpg

 美紀が保育園に入園してから小学校卒業までの10年間を描いている本作。その間にいろんな出会いがあって、いろんな成長があって、110分ほどの映画の尺で収まっているのが信じられません。それなのに「ストーリーがごちゃっとしているな」感は全くなく、ゆっくりとした時間が終始流れているので、心地よく鑑賞できるのです。そして、美紀はもちろん、健一の成長を通して、感動がじわじわと波のように押し寄せてきます。また、本作は健一、美紀、祖父母など、どのキャラクターに感情移入しても泣けるのが不思議。温かさが伝わる本作を見れば、家族に優しくなれるはず。家族を想いたい。そんな時期だからこそ見るべき一本です。ぜひハンカチは忘れずに劇場へ。

(文/トキエス)

***

サブ3.jpg

『ステップ』
7月17日(金)より公開中!

監督・脚本・編集:飯塚 健
原作:重松 清「ステップ」(中公文庫)
出演:山田孝之、田中里念、白鳥玉季、中野翠咲、伊藤沙莉、川栄李奈、広末涼子、余 貴美子、國村 隼 ほか
配給:エイベックス・ピクチャーズ

2020年/日本映画/118分
公式サイト:www.step-movie.jp
(C)2020映画『ステップ』製作委員会

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム