セレブのマウンティング合戦『グッド・ワイフ』
『グッド・ワイフ』 7月10日(金)TEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
華やかなパーティーから始るオープニング。大人になっても自分の誕生日パーティーをこんなに盛大に行なうなんて庶民の私からしたら異次元の出来事だ。そんな、異次元で巻き起こるセレブな主婦達のマウンティング合戦。他人ごとならいつの時代のどこのマウンティング合戦でもみていて楽しい。
この作品を鑑賞するにあたって少し時代背景を知ってからみると見やすいかもしれない。
第91回アカデミー賞で外国語映画賞ほか3冠に輝いたアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』からちょうど10年後のメキシコが舞台となっている。1970年代の石油投資ブームを経て膨らんだ対外債務が原因となり、1982年に深刻な債務危機が到来し、経済と国民生活に深刻な打撃を与えた時代を描いている。
主人公のソフィアは母親の勧める裕福な相手と結婚し、なに不自由のない生活を送っていた。ご近所のママ友の頂点に立っているソフィアは新入りのアナ・パウラを見下すような態度をとる。しかし、ソフィアの旦那の会社の経営は上手くいかなくなっていき、取り巻きのママ友達もアナ・パウラに媚びを売るようになってゆく。
いつの時代もある、ママ友間で起こるマウンティング合戦。外野からみている分には滑稽で次はなにが起きるのか?と楽しく見ていられる。映画で見るマウンティングは完全に観客は外野からの観戦になるので気楽に見られる。セレブ妻達のマウンティングの武器になるのはブランド物や車、化粧品、ステイタス...。さりげなく登場するカルティエやグッチなどブランド物の数々はどの時代でも憧れる輝きをはなっている。どんなブランドが登場しているのか捜しながら見るのも楽しい。
ママ友たちがテニスクラブに通うシーンでは運動の後に集ってお茶をしているのだがみんなサングラスをかけていて、そのサングラスは日差しからガードするだけでは無く、まるで本心を隠している象徴のように感じた。
お金持ちの人が薄っぺらい人間付き合いをしていたら、お金が無くなったときどうなるのか?ある程度想像はつく。マウンティングで作り上げた人間関係には何の意味もないということがよくわかる。現代に生きる私たちにも通ずるものがある。
おなじ時間を生きるなら楽しく、丁寧な人間付き合いに尽きる!
(文/杉本結)
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『グッド・ワイフ』
7月10日(金)TEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
監督・脚本:アレハンドラ・マルケス・アベヤ
出演:イルセ・サラス、カサンドラ・シアンゲロッティ、パウリーナ・ガイタン、ジョアンナ・ムリーヨ、フラビオ・メディナほか
配給:ミモザフィルムズ
原題:Las ninas bien
2018年/メキシコ/100分
公式サイト:http://goodwife-movie.com
(c)D.R. ESTEBAN CORP S.A. DE C.V., MEXICO 2018