もやもやレビュー

脳天ブチ破る全方位的おもしろさ
『きっと、うまくいく』

インド映画『きっと、うまくいく』
シネマカリテ他で公開中!

 皆さまごきげんよう。夏といえばカレーですが、インド映画は色々濃くって胃もたれしそう、と食わず嫌いの人生でした。しかし初めて観た『きっと、うまくいく』がマイ映画史上堂々のベスト5にランクイン。「歌って、踊って、大スペクタクル」なボリウッド色は薄めで初心者にも優しい味付けながら、すべてが入っている。さすがインド。

 舞台はインドのMIT的な存在、ICE大学。このエリート中のエリート学校に家族の期待を一身に背負って入学したファルハーンとラージュー。そしていつも飄々としてイタズラ好きなランチョー。寮のルームメイトになったこの3人を中心に物語は進んでいきます。

 インドで身分や貧富の差は非常に厳格かつデリケートな話題ですが、この作品はそこを笑い飛ばす雄々しさを発揮しています。3人組の中でも苦学生のラージューの家を描いたシーンが全力でふざけており、慄きつつも痛快です。

 また字幕がいとうせいこうさん監修というのも、スタッフの方々の愛を感じずにはいられません。個人的にツボだった台詞は「ゆうパック」。いとうさんの仕事に敬意を。

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主演のランチョー(真ん中)ことアーミル・カーン、大学生役も演じていますが実年齢はなんと48歳(インド公開時は44歳)!
 勉強、勉強、成績、成績。追い立てられる日々のなか、ファルハーンとラージューはその成績至上主義、エリート第一主義の価値観から易々と外に飛び出し人生を楽しんでいるランチョーの生き方に触れ、徐々に自分の押し殺してきた気持ちに目が向き始めます。「どうしてこんなに勉強しているんだっけ?」「そもそも何がしたかったんだっけ」「どうすれば幸せなんだっけ...?」


 皆のヒーロー的存在となるランチョーにも実は深い秘密があり、そして最後には本当に気持ちいいばかりのどんでん返しが待っているのです。

 公開から日が経ち上映している劇場は少なくなっていますが、まだ間に合います。どうぞ劇場で! 人生って何て素晴らしいんだろうって本気で思うこと請け合いです。ちなみに当方、翌日からケータイの待ち受けをランチョーの写真にした有様であります。

(文/小野好美)

『きっと、うまくいく』
監督:ラージクマール・ヒラニ
出演:アーミル・カーン、カリーナ・カプール他
シネマカリテ他でまだまだ公開中!
※上映劇場は映画公式サイトで確認できます。

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