「悪いのはあなたじゃない」 23人の実例から中高生の悩みに寄り添う一冊

10代のうちに知っておきたい心の守り方
『10代のうちに知っておきたい心の守り方』
栗本顕
かんき出版
1,760円(税込)
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 "多感"という言葉がぴったりな、中学生の時期。自分のこと、友達のこと、学校のことなど、心に多くのモヤモヤを抱えている子も多いのではないでしょうか。そうした10代の子どもたちを守るために生まれたのが、『10代のうちに知っておきたい心の守り方』という本です。著者の栗本 顕さんは「はじめに」で、「私がこの本を書いた最大の目的は、あなたが自分を責めることをやめて、『今の自分でも大丈夫なんだ』と心から思えるようになるための"武器"を手渡すこと」(本書より)とつづっています。

 本書の特徴の一つとなるのが、23人分のショートストーリーが掲載されている点です。どれも中学生が抱えやすい悩みが実にリアルに描かれていますが、それもそのはず。これらはすべて栗本さんが過去にスクールカウンセラーとして相談を受けてきた中学生たちの声をもとにしているからです。これらの実例とともに、栗本さん自身が培ってきた具体的な対処法や考え方が本書には詰め込まれています。

 たとえば、「苦手な相手と距離をおきたい」というパートで登場するのが次のエピソードです。

 いじめられているわけではないものの、暴力的なコミュニケーションが日常化していて、「やめろよ」と言っても「なんだよノリ悪ぃな」と睨まれ、言葉に詰まってしまう――。中学生の友達関係では「あるある」なのかもしれませんが、これは「いつ自分を攻撃してくるかわからない時限爆弾がずっと隣にあるようなもの」(本書より)であり、安心して過ごすことができません。

 このような場合は、自分から必要以上に関わりを持つのではなく、「必要以上に関わらない」というのが正しい選択だそうです。本書では「自然に距離を取る方法」として、「『自分の世界』に没頭しているふりをする」「反応を『へぇ~』『そうなんだ』『あはは(軽めの笑い)のワンパターンにしてエネルギーを節約する」「会話は必要なことだけを、丁寧に、短く伝える」など、さまざまな方法をアドバイスしています。

 ほかにも本書には、「友達の態度がおかしい」「学校の雰囲気についていけない」「もっとかわいくなりたい」「親の期待が重すぎる」などの悩みが取り上げられています。学校という狭い世界にいると、どうしても「まわりに合わせられない自分がおかしいのではないか」と考えてしまいますが、「悪いのはあなたではなく、その環境や、人を傷つけることを選んだ側にあります」(本書より)と栗本さんはいいます。

 一人でも多くの中学生が、本書から自身の尊厳を守るための「盾」を手に入れられるとよいですね。また、子どもの悩みや子どもを取り巻く環境について知りたいという保護者にも本書はおすすめです。どのように子どもの気持ちに寄り添えばよいのかを、きっと教えてくれることでしょう。

[文・鷺ノ宮やよい]

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