『月刊予告編妄想かわら版』2025年08月号

映画『九龍ジェネリックロマンス』(8/29公開)より
毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』四十八回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
08月公開の映画からは、この四作品を選びました。
*
『入国審査』(08月01日公開)
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/uponentry/
予告編:https://youtu.be/IYUFK8S_49c?si=ffoHSpmnpZa-x6PO
ベネズエラ出身のアレハンドロ・ロハスとフアン・セバスチャン・バスケスの二人による共同監督・脚本作品『入国審査』。
移住のために、バルセロナからNYへ降り立ったディエゴとエレナは新天地での生活に胸を躍らせていた。しかし、パスポートを確認した職員に二人は別室に連れてかれていってしまうことになる。
「入国の目的は?」と聞かれるところから始まる尋問。「機内か空港で人から何か預かりましたか?」と聞かれたり、身体チェックをされて憤るエレナは「こんなの嫌がらせだわ」とディエゴに母国語でいうものの、審査官の女性に「スペイン語もわかるわよ」と言われている場面も予告編で見ることができます。
ここからは妄想です。「グリーンカードに応募したのは初めて?」とその審査官が言うと、エレナは「はい」と、ディエゴは「いいえ」と答えます。エレナが驚いた顔をするのも予告編で見ることができます。
やはりディエゴが一度アメリカに移住しようとしてダメだったのであれば、彼が過去になんらかのトラブルを起こしている可能性もあります。あるいは審査官たちは移住をしようと海外からやってくる人たちの中から過去に問題のあった人から選び、テロリストに仕立てあげてポイント稼ぎをしている可能性もありそうです。そうなると今年大統領になったあの人が黒幕なのかもしれません!
『入国審査』
8月1日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:松竹
© 2022 ZABRISKIE FILMS SL, BASQUE FILM SERVICES SL, SYGNATIA SL, UPON ENTRY AIE
*
『近畿地方のある場所について』(08月08日公開)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/kinkimovie/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=Mwut9_C_TtQ
「このホラーがすごい!2024年版」第一位になった背筋の小説を白石晃士監督が映画化した『近畿地方のある場所について』。
あるオカルト雑誌の編集長が失踪してしまった。その同僚の編集部員の小沢悠生(赤楚衛二)は女性記者の瀬野千紘(菅野美穂)とその編集長が残した調査資料から失踪の手がかりを探そうとする。資料は過去の未解決事件や怪現象に関するものばかり。
「近畿地方に何かありますね」「出発するよ、近畿に」というやりとりから二人が車で向かっていく様子も予告編で見ることができます。
ここからは妄想です。予告編の中で小沢と瀬野が話を聞いた老婆から「ましろさま」というワードが出てきてから、映像はより気味が悪いものや、人らしき物体が上から落ちてくる映像が映し出されます。また、病室にいる失踪した編集長らしき人物の姿も見られます。
「ましろさま」という存在がやはりキーになるのでしょう。そこには生贄が必要であり、編集長は調べているうちに取り込まれてしまった。そして、次の生贄として小沢と瀬野が選ばれてしまったというのはどうでしょう? あるいは怪現象の資料などを彼らに拡散させることでより多くの生贄を得ようとしている。最後はみんな「ましろさま」のしもべになってしまう、恐怖のラストではないでしょうか?
『近畿地方のある場所について』
8月8日(金)公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2025「近畿地方のある場所について」製作委員会
*
『バレリーナ:The World of John Wick』(08月22日公開)
公式サイト:https://ballerina-jwmovie.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=H0cJYbHnjqQ
キアヌ・リーブス主演『ジョン・ウィック』シリーズの独自の世界観はそのままに、アナ・デ・アルマスを主演に迎えた『バレリーナ:The World of John Wick』。
孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成しているロシア系犯罪組織のルスカ・ロマ。ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)を生み出したその組織で殺しのテクニックを磨いたイヴ(アナ・デ・アルマス)。彼女は幼い頃に殺された父の復讐に立ち上がるようです。
「ババヤガ」「私を殺しに来たの?」「君次第だ」とイヴの前にジョン・ウィックが現れた途端、彼女が彼にいきなり銃を撃ち始めるシーンも予告編で見ることができます。
ここからは妄想です。ジョン・ウィックはやはりイヴの復讐に手を貸すのでしょう。予告編を見るだけでは彼女の父親がどんなことに巻き込まれてしまったのか、また復讐相手がどのような人物かはわかりません。しかし、二人の殺し屋を生み出した組織がなにか知っているか、関わっている可能性が高いと思われます。
来日すると大好きなラーメン店をお忍びで度々訪れていると噂されているキアヌ・リーブスが出演しているので、復讐や彼らを暗殺者に育てた組織を壊滅させたあとに二人が日本にやってきてラーメンを食べるラストはどうでしょう。食べていると日本で新しいトラブルに巻き込まれて続編に続くというのもありだと思います。
『バレリーナ:The World of John Wick』
8月22日(金)全国公開
配給:キノフィルムズ
®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
*
映画『九龍ジェネリックロマンス』(08月29日公開)
公式サイト:https://kowloongr.jp/movie/index.html
予告編:https://youtu.be/3iqozAWv-1c
『恋は雨上がりのように』の眉月じゅん最新作を映画化したミステリー・ラブロマンス『九龍ジェネリックロマンス』。
懐かしさで溢れる街・九龍城砦の不動産屋で働く鯨井令子(吉岡里帆)は先輩社員の工藤発(水上恒司)に恋をしていた。しかし、令子には過去の記憶がなく、しかも彼女は工藤のかつての恋人に瓜二つだということが予告編で語られます。
「あんたは令子さんの偽物だ」「永遠に懐かしい世界で愛する人と生きていける」「それでよかったんだ!」「工藤さんは誰を見てるんですか。私を見てください」と予告編で聞ける登場人物たちのセリフも謎をより深めていきます。
ここからは妄想です。令子にそっくりな工藤の元恋人、そして偽物というワードがあるので、令子は彼の恋人のクローンかもしれません。あるいはこの「懐かしさで溢れる街」である九龍城砦は工藤が生み出したもう一つの世界という可能性もありそうです。
例えば、戦争や不治の病で恋人を失ってしまい絶望した工藤が、ただ彼女が生きている世界を望んだことによる可能性世界がこの物語なのではないでしょうか? ラストはここに令子を閉じ込めておくことが現実と向き合えない自分の愚かさだと気づき、この世界を終わらせてしまう。彼女のいない世界で工藤がもう一度生きていこうとする終わりではないでしょうか?
映画『九龍ジェネリックロマンス』
8月29日(金)公開
配給:バンダイナムコフィルムワークス
©眉月じゅん/集英社・映画「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会
*
文/碇本学
1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。