普通のおばちゃんが振り込め詐欺の犯人を捜し出す実話!『市民捜査官ドッキ』
『市民捜査官ドッキ』 12月13日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開
今回紹介する『市民捜査官ドッキ』は実話を元に作られたフィクション。韓国映画だが舞台を中国へと移していく流れがとてもうまかった。
クリーニング店が火災になりお金を必要としていたドッキに、銀行のソン代理から融資商品を紹介したいとの電話がかかってくる。融資に必要だからとあれこれ手数料を請求され、ソン代理に送金したドッキ。しかし、この一連の流れが振り込め詐欺であったことを後から知り、ショックを受ける。全財産を失い子供たちと路頭に迷うドッキに、再びソン代理から電話がかかってくるのだが...。今度はドッキに詐欺組織の情報提供をすると助けを求めてきた! 警察も諦めたこの事件。だがドッキはソン代理を救い奪われたお金も取り戻したい一心で、それぞれ特技を持つ心強い同僚たちと共に中国・青島(チンタオ)へと向かう。
ドッキ役を『高速道路家族』のベテラン女優ラ・ミランが演じているのだが、本当に自分の近くに居そうな優しいお母さん。家族思いのとてもいい人、職場でも癖のある、でも憎めない友人がいる。劇中に登場する一つ一つのエピソードが次の展開へときれいに繋がっているので、夢中になって観ていた。
振り込め詐欺にまさか自分があうなんて。だまされたと気がついたとき、きっと誰しもが思うだろう。それでも被害にあってしまうほど、ドッキは必死だったこともわかる。時々映し出されるドッキの手が荒れていて、苦労している人の手だった。そこまで役作りをして撮影に臨んでいたのかと思うと本当にすごい女優さんだと思った。
最近日本でも、闇バイトや詐欺被害が急増している。犯罪の末端にいる人間は、軽い気持ちからはじめたが抜け出せなくなっている人が多いようだ。個人情報や家族の情報までつかまれて抜け出せなくなっている様子が本作にも出てきて、目を覆いたくなるようなシーンもあり怖かったが、本当にこんな感じなのかなと思った。犯罪に巻き込まれる前に、本作を観て知ってほしいと思った。
最後までハラハラドキドキとドッキを応援しながら観賞することになる。実際に振り込め詐欺の上層部までたどりつけるのか?本作の見どころにもなっている。これが実話だと思ったらとんでもないことだとも思った。
エンドロールでドッキのモデルになった方の紹介が流れてこんなことが本当にあったのか!この人すごいなと改めて感じた。振り込め詐欺から始まる物語だが、そこには強くてかっこいい母親の姿がある作品だった。
ドッキはお金を失ってどん底を味わったからこそ知ったのだろう。スクリーンの前にいる私たちに「お金よりも大切なもの」を力強く教えてくれる作品となっている。
(文/杉本結)
『市民捜査官ドッキ』
12月13日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開
監督:パク・ヨンジュ
出演:ラ・ミラン、コンミョン、ヨム・ヘラン、パク・ビョンウン、チャン・ユンジュ、イ・ムセン、アン・ウンジン
配給:クロックワークス
2024/韓国/114分
原題:시민덕희 英題:CITIZEN OF A KIND
公式サイト:https://klockworx.com/movies/duk-hee/
予告編:https://youtu.be/o5qkOSSp62k
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