もやもやレビュー

恋は盲目『言えない秘密』

『言えない秘密』 6月26日(金)公開

タイトルにもなっている"秘密"この言葉に惹かれる人も多いだろう。何かあるとにおわせているタイトル通り、ある秘密が本作には隠されているのだが、後半の種明かしになるまで私はその秘密の正体に全く気が付かずに鑑賞した。
だからこそ"秘密"の正体がわかった時には、あの時のあれはそうだったのかと答え合わせされていくことで何層にも何層にも積み重なるように深い愛を感じて感動した。

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SixTONESとしてデビュー後、京本大我が初の映画単独主演を務めることで話題を呼び、確かな演技力で魅了する古川琴音が初めて恋愛映画のヒロイン役に挑戦した。メガホンを取るのは、映画『鈴木先生』『俺物語!!』『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』など数々の話題作を手掛けてきた河合勇人監督。

過去の出来事からトラウマを抱えた音大生・湊人(みなと)は、どこか謎めいた雰囲気のある雪乃(ゆきの)が奏でるピアノの音色に導かれ、運命的な出逢いを果たす。自然と惹かれ合い、雪乃の天真爛漫なキャラクターと心動かすピアノ演奏は、湊人が抱えるトラウマを癒し、やがて2人で過ごす日々は愛おしくかけがえのないものになっていく。
しかし、ある日突然雪乃は湊人の前から姿を消してしまう----。

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2人の時間がとても楽しそうで、みているこちらもいつのまにかはにかんでいた。
少しずつ流れていく時間を季節の移り変わりで感じながら、毎日待ち合わせをしているベンチに行かなかったら、来なかったら会えない2人に危うさを感じていた。携帯電話での連絡が当たり前になった時代に使わないというだけでこんなにも関係が終わるかもしれない危うさを感じながら、鑑賞することになるのかと思った。携帯電話のない時代の人たちは凄いと思った。この感情は北野武原作の『アナログ』を読んだ時と似た感情だったようにも思う。相手がそこに必ず来ると信じて待つ。ただそれだけのことだけど自分にそれが出来るかな?と考えたりした。

大学生活が楽しそうでこんな大学生活送りたかったと憧れながらの鑑賞だった。デートで観るのにおすすめしたい一本だ。

(文/杉本結)

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『言えない秘密』
6月26日(金)公開

監督:河合勇人
出演:京本大我、古川琴音
配給:ギャガ

公式サイト:https://gaga.ne.jp/IenaiHimitsu/
予告編:https://youtu.be/kT6mdYSHqew
©2024『言えない秘密』製作委員会

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