私たちにできるSDGsについて考える『HOW TO BROW UP』
HOW TO BROW UP
今、知るべき世界で起こっている大切な出来事が本作の中にはあったので紹介したい。きっと本作は日本で大ヒットする作品ではないだろう。それでも、環境破壊が進んだ先に待つ世界の姿を確認してほしいと思う。
スウェーデンの気候変動学者アンドレアス・マルムが2021年に発表したノンフィクション書籍「パイプライン爆破法 燃える地球でいかに闘うか」を原作に、ダニエル・ゴールドハーバー監督と主演を務める俳優アリエラ・ベアラーが共同で脚本を執筆し、物語の形に大胆に翻案した。
環境活動家の若者たちによる命がけの石油パイプライン爆破を描き、アメリカでスマッシュヒットを記録しながらも「環境テロ行為を助長する」とFBIが警告を出すなど賛否両論を巻き起こしたサスペンススリラー。
環境破壊に人生を狂わされた若き環境活動家たちが、テキサス州の石油精製工場を爆弾で破壊する作戦を企てる。彼らの過激な決意は、友人や恋人たちを巻き込みながら予期せぬ混乱を招いていく。
映画を鑑賞している時、これはドキュメンタリー映画なのか?と錯覚するほどのリアリティがあった。私はまだまだ遠い国で起きている他人事のように感じたけれど、もしもこれが自分の身近に迫ってきている問題なのだとしたらどうだろう? そう考えながら後半は鑑賞していた。
工場を爆弾破壊することが正しいとは言えないが、工場による大気や水の汚染が原因で急性骨髄性白血病になる登場人物など他人事ではないと少しずつ身近な問題が私たちに問いかける。Z世代と呼ばれる若い世代が本気で世界を変えていこうとしている姿にも胸打たれ、終盤は爆破が成功してほしい気持ちにいつの間にか傾いていた。
最近よく耳にするSDGs持続可能な社会。それは地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていける社会のことなのだが私たちはこれから何をしていけるのだろうか? 今まで以上に環境問題と真剣に向き合う機会になる作品だった。
(文/杉本結)
『HOW TO BROW UP』
6月14日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、池袋HUMAXシネマズ、シネマート新宿 他全国ロードショー
監督・脚本・プロデュース:ダニエル・ゴールドハーバー
出演:アリエラ・ベアラー、サッシャ・レイン、ルーカス・ゲイジ
配給:SUNDAE
原題:HOW TO BLOW UP A PIPELINE
2022/アメリカ/104分
公式サイト:https://howtoblowup.com
予告編:https://youtu.be/wHiso2tVi6o
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