真実は直視しない方が楽『みんな元気』
- 『みんな元気』
- ロバート デ・ニーロ,ドリュー バリモア,サム ロックウェル,ルシアン メイゼル,カーク ジョーンズ,テッド フィールド,グリニス マーレイ,ジアーニ ヌナリ,カーク ジョーンズ,ジュゼッペ トルナトーレ,マッシモ デ・リタ
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ロバート・デ・ニーロ主演、ドリュー・バリモア、ケイト・ベッキンセール、サム・ロックウェルなど豪華俳優陣が集結した2009年のアメリカ映画『みんな元気』。90年のイタリアの同名映画をリメイクした本作は、ロバート演じる主人公が、アメリカ各地にいる子どもたちにサプライズで会いにいくというもの。ほっこりしたロードムービーかと思いきや、涙が溢れる悲劇アリの作品でした。
物語はロバート演じるフランクが、実家に帰省してくる子どもたちのために、肉やワイン、バーベキューグリルを購入するシーンから始まります。妻が亡くなって以来、初めて家族の集まりができると思っていたフランクでしたが、子どもたちは皆「帰省できない」と電話で断ってきました。そこでフランクは、「みんなが会いに来られないなら、自分から会いに行こう」と旅をすることを決断。医者からは旅行を止められますが、薬を持って早速息子のデイヴィッドに会いにニューヨークへと旅立ちます。デヴィッドのアパートに到着したフランクですが、いつまでたってもデイヴィッドが姿を現すことはありませんでした。そこで、手紙だけを置き、娘のエイミーを訪ねます。「息子が熱を出して帰省できない」と言っていたのですが、サプライズ訪問で迎え入れたのはエイミーの息子(しかも元気)でした。娘と一緒に数日過ごしたいと思っていたフランクですが「タイミングが悪い」と言われてしまいます。そしてその後、ロバートとロージーに会いにいくもみんなが嘘をついていて......。
フランクの子どもたちが嘘をついている理由が後半で判明するのですが、なんとも悲しい真実が待ち受けています。タイトルのようにフランクは「みんな元気」であることを想像し、みんなに会いに行きますが、現実はもっと複雑なもの。「真実を直視しない方が楽」といったメッセージも込められている本作。親元を離れて暮らし「心配かけたくない」という思いから、「大丈夫」と嘘をついた経験がある人も少なくないはず。本作はそんな人に向けた作品だと思います。観賞後にはきっと、自分の家族に会いに行きたくなることでしょう。
(文/トキエス)