もやもやレビュー

難問な"マルチバース"というアイディアを面白く『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス [Blu-ray]
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス [Blu-ray]』
ミシェル・ヨー,キー・ホイ・クァン,ダニエルズ
ギャガ
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 日本では「エブエブ」と呼ばれ話題になったA24の作品『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。近年はヒーロー映画の影響もあり「マルチバース(多元宇宙)」というものを題材にした作品が多く輩出されていますね。でも見ていて「なんだかよくわからない」「深く理解できない」という人も多いはず。そんな「マルチバース」を面白く奇妙に描いた「エブエブ」は、第95回アカデミー賞において、作品賞や監督賞を含む7部門を獲得しました。

 主人公のエヴリン(ミシェル・ヨー)は、若い頃に中国を離れ、夫のウェイモンドとアメリカでコインランドリーを経営。領収書の処理などに追われている彼女の人生(ユニバース)はフラストレーションとストレスに満ちています。ウェイモンドと結婚した時にエヴリンを勘当した父が、誕生日を祝うために訪れ、税金の監査が迫り、娘とは衝突、ウェイモンドは離婚を申請......。頭を抱えたくなるそんな問題が多く発生する中、ウェイモンドが急に「別のユニバース」のウェイモンドとなり、エヴリンに宇宙を救って欲しいと頼むのです。それをきっかけに、エヴリンは「別のユニバース」の自分がどのような人生を送っているのかを知っていくと同時に、ヴィランのジョブ・トゥパキと戦うことになります。

 本作で監督を務めたダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)といえば、ダニエル・ラドクリフ主演の『スイス・アーミー・マン』などで知られています。彼らの過去作品を見た方ならわかるように、彼らは、映画の「王道の展開」的な、映画を作る上の暗黙のルールみたいなものを完全無視して映画をつくり、驚きと奇妙さ、奇抜さで観客たちを楽しませています。そんな彼らがオスカーを受賞した本作、「一体、なんなんだこれ」と言いたくなるけど、魅了される。そんな作品になっています。

(文/トキエス)

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