『青葉家のテーブル』をみて、無性にタコスを食べたくなった。
- 『青葉家のテーブル』
- 西田尚美,市川実和子,栗林藍希,寄川歌太,忍成修吾,松本壮史,佐藤友子,松本壮史,遠藤泰己
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本作はECサイト「北欧、暮らしの道具店」で2018年4月から配信されたwebドラマの映画版です。
青葉家は、春子(西田尚美)に息子のリク(寄川歌太)、春子の飲み友達のめいこ(久保陽香)に、めいこの彼氏のソラオ(忍成修吾)という一風変わった4人で共同生活を送っています。
ある日、春子の旧友・知世(市川実和子)の娘の優子(栗林藍希)が、美術予備校の夏期講習に通うため、青葉家に居候することになります。
優子は、初めこそ変わった家族構成にとまどいますが、次第に、青葉家皆で囲む楽しい食卓に慣れ、お腹も心も満たされていきます。それは、おしゃれな食器に春子の作る彩りの良いおいしい手料理が並び、また朝に限ってはソラオが作る、自身がハマっているというタコスを飽きつつも食べるという毎日でした。
初日こそ緊張した夏期講習も、ピンクヘアで絶対美大に行きたいという与田あかね(上原実矩)や、デッサンが上手く高校生ながらデザイン会社でインターンとして働く瀬尾雄大(細田佳央太)との出会いもあり、楽しく通います。
そんな優子にも、何かにつけては母の話題を持ち出される有名人の子というコンプレックスがありました。優子の母の知世は、"満腹"というセンスのいい中華レストランを切り盛りし、センスのある人とSNSで話題になりテレビでも特集されるような有名人でした。優子自身も母のように何者かにならなくてはという焦りを常に抱えていました。
優子はコンプレックスを抱えつつも、明確な夢や目標をもつ友人からの刺激や、幅広い世代の青葉家の人々からの応援や影響もあり、徐々に今の自分を受け入れられるようになります。
夏期講習に通いつつも、リクに誘われバンドをやってみたり、色々なことに興味を持ちトライするも又目移りする自分を肯定でき、今は「選ばないことを選ぶ」と胸を張って言えるようになります。
また、有名人の母も、実は昔優子と似たところがあったことを知ります。「うちのお母さんさ、大したことなかったわ。飽き性だし。でもね、ちゃんと戦ってたんだよね。打つべし、打つべしっつってね。」と、勇気をもらいます。
優子自身の成長はもちろんのこと、春子と知世の実は一筋縄でいかなかった友情も必見です。若者世代、親世代ともに刺さる本作は、おしゃれなインテリアに美味しそうな食卓に見どころ満載の作品。一見の価値ありです。
(文/森山梓)