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大きな声で応援したい!『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』

『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』

今回、紹介する『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』は実話をベースにした物語です。
eスポーツを題材にした映画を観たことありますか? たとえば最近だと、2022年の『ALIVEHOON アライブフーン』がありました。まだ邦画で観ることの少ないジャンルのように思っていましたが、今年は映画『eスポーーーーツリアルタイムバトル将棋EDITION』も公開予定で、これから続々と増えてくるジャンルになるのではないかと思っております。

本作は徳島の高等専門学校を舞台に、実在した生徒をモデルに描く青春映画。本音を語らず微妙な距離を保ついまどき世代を、時に笑いを誘いながら等身大に映し出す。それぞれが悩みを抱えながらも、この一瞬一瞬を全力で"PLAY"する姿はすがすがしく、観る者の心にも爽やかな風が吹き抜ける。

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本作、リアルで面白かったのは同じ学校に通いながらオンライン上で集合・解散、学年も性格もバラバラの凸凹トリオが1つのゲームを通して心通わしていく姿が描かれているところでした。
実際に試合をしているシーンをみている時は声を出して応援したいくらいのテンションと気持ちで、やや前傾姿勢で「いけー!」とか「そこだっ!」とか言ってしまっていました。映画館も声出しOKの応援上映の回を作ってほしい作品です。

主演の2人も豪華で奥平大兼と鈴鹿央士。鈴鹿央士演じる達郎は天才ゲーマーだけど、いいたいことをはっきり言うのが苦手で言葉を飲み込むことが多い性格。鈴鹿央士にぴったりの役だったように感じました。

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奥平大兼演じる翔太は家庭に様々な問題があるが明るい性格で、金髪がトレードマーク。こちらも奥平大兼が恋愛も絡めてうまく演じていました。
ここに現れるヒロイン花瀬琴音演じる紗良が作品に良い色を付け加えていたように感じました。新海誠監督の『すずめの戸締まり』(22)で海部千果役の声を担当。貧困問題をテーマにした『遠いところ』(22/工藤将亮監督)では、17歳の母親役で映画初主演を務めたこれから期待の新人俳優の1人。

題名通り、思いっきりやったら「勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」その先にどんな景色がまっているのかの方が大切なんだと感じるラスト。
eスポーツを知ってる人も知らない人も楽しめる、大きなスクリーンでみるべき作品です。

(文/杉本結)

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『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』
3月8日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

監督:古厩

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