もやもやレビュー

知ってる? 5人に1人がアプリ婚時代『マッチング』

『マッチング』 2月23日(金・祝)公開

今年1月26日に公開された、最も静かなラブストーリー『サイレントラブ』のメガホンをとった内田英治監督の次作は、身近すぎるアプリから始まる恐怖を描く、新感覚サスペンス・スリラー!

ウェディングプランナーとして仕事が充実している一方、恋愛に奥手な輪花(土屋太鳳)は、親友で同僚の尚美(片山萌美)の勧めでマッチングアプリに登録をする。この日を境に生活が一変する--。
マッチングした相手の吐夢(佐久間大介)と待ち合わせると、現れたのはプロフィールとは別人のように暗い男。さらに、吐夢に出会ってから輪花のスマホの通知が鳴りやまない。
「次いつ会えますか?」「次いつ会えますか?」「次いつ会えますか?」・・・
恐怖を感じた輪花は、取引先でマッチングアプリ運営会社のプログラマー影山(金子ノブアキ)に助けを求めることに。一方、同じ頃、"アプリ婚"した夫婦が惨殺される悲惨な事件が連続して発生し、世間を騒がせていた。アプリでの出会いをきっかけに、一変する輪花の日常。家族や友人、輪花を取り巻く人物たちの"本当の顔"が次々に明かされていく中、事件の魔の手は次第に輪花の身にも迫っていく--

サブ2.jpg

近年のマッチングアプリの利用率は、20代で42%、30代で35%、40代で32%という結果がある。そのなかで30%が付き合いに発展しているという。
マッチングアプリを使った出会いはもう普通のことになりつつあるのだろう。昔は、出会い系などと言ってなかなかインターネット上での出会いには消極的だったが、今ではテレビCMも盛んに流れているくらい生活の中に溶け込みつつある。

では、今回の映画の舞台となる"結婚式場"までたどり着くカップルはいったいどのくらいいるのだろうか?
2015~2019年に結婚した人の6.6%が、マッチングアプリが出会いのきっかけだった。2020年代以降では18.8%に上昇。2022年単年では22.6%となり、結婚するカップルのおよそ5人に1人にのぼっている。
思ったよりも多い印象で、そういった意味では今回紹介する映画にリアリティを持って観る人も多いということになるのだろう。

サブ3.jpg

マッチングアプリで知り合うと共通の友人もいないし、お互いのことを一から知っていく作業はまさに手探り状態で、そこに楽しさを見出せるのかどうかがカップルになる鍵になってきそうだ。
知らない相手への警戒心を持ちながらも少しずつ心を許していくのと対比して、いつも近くにいて親切にしてくれている警戒心がない相手、だけど実は本当のことを何も知らない。どちらが安全なのか映画をみているうちにわからなくなってきた。
結婚を意識して出会うのか、そうではないかにもよってもゴールまでの距離が違うのかなとか、さまざまなことを考えた。
リアルな事象の中に起こるサスペンスにハラハラさせられ、とても楽しめる作品だった。

(文/杉本結)

***
サブ1.jpg

『マッチング』
2月23日(金・祝)公開

監督・脚本:内田英治
原作:内田英治『マッチング』(角川ホラー文庫刊)
出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ ほか
配給:KADOKAWA

2024/日本映画/110分
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/matching/
予告編:https://youtu.be/1DpEbmNIhoU
©2024『マッチング』製作委員会

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム