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【映画が好きです】『Sweet Dreams(原題)』エナ・センディヤレヴィッチ監督

トロント国際映画祭で上映された映画『Sweet Dreams(原題)』

 独特な映像センスで注目を浴びるボスニア出身の映画監督、エナ・センディヤレヴィッチ。彼女の2作目となる長編映画『Sweet Dreams(原題)』が、2023年9月、トロント国際映画祭にて上映されました。本作は、オランダ植民地時代末期のインドネシアの製糖工場を舞台に、家長の死と権力闘争を描いた一本。どのシーンも絵画のように美しい構図なのが特徴的な本作は、インドネシアにとってヨーロッパの植民地主義の影響がどれほどまでに大きいのかを鋭い視点で描いた風刺作品でもあります。
今回、トロント国際映画祭にてセンディヤレヴィッチ監督にインタビューを決行。本作のこだわりなどについて伺ってきました。

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――この作品は、どのシーンを切り取っても絵画のように美しく魅力的でした。撮影をする際に強くこだわった部分はなんでしょうか。

撮影は海の反対側、つまりオランダで行いました。ジャングルでの撮影もあり、複雑な撮影になることはわかっていましたが、私はいつもこのような作品作りに惹かれるのです。基本的にすべてのショットは絵画のように扱われています。ルールのある描き方、とても正確な描き方が好きなのです。これは私が本当に望んでいたことですし、これまでの作品でもやってきたことです。そしてこの映画は、素朴な絵画......特に1900年代前後のモダニズム絵画にとてもインスパイアされています。そのうちの一つがルソーで、彼は西欧の人々、そして植民地のジャングルに住む西欧の人々も描いていました。彼はとても鮮やかな色彩を使って、まるでおとぎ話のように描いていたのです。その一方で、東洋的な視点もありました。そこにはある種のエキゾチズムがあって、私はそれをこの映画の世界の描写に使いたかったのです。

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――脚本についてお伺いします。かなり驚きの展開が多い印象でしたが、どのようにストーリーを考案したのでしょうか。

最初から女性の登場人物に焦点を当てたいと考えていました。というのも、映画で植民地主義について語るとき、あるいは世界史の暴力的な部分について語る時、私たちは多くの場合、男性の暴力そのものに焦点を当てているからです。特にアクション映画や戦争映画の場合はそうです。だから「女性の生活はどうなっているのか」ということに興味がありました。そのため、脚本を書き始めた時、女性のキャラクターはとても重要でした。システムに焦点を当てることも重要だったのです。逆に、1人のキャラクターが善人なのか悪人なのかということについて焦点は当てたくなかった。植民地支配というシステム全体が、いかに抑圧的であるかを示したいという思いでした。それで、3人の登場人物のアンサンブルを描く作品にしました。

――トロント国際映画祭での上映について、どのようなお気持ちですか。

個人的にはトロント国際映画祭に来るのは2回目ですから、とても意味がありますね。コロナウィルスのパンデミックの前に短編映画を作ってきたことがあります。観客のバックグラウンドが多様ですから、この映画祭の観客がどう反応するのか、とても興味がありました。この映画は植民地について描いているわけですが、この地球上にいる私たち全員が、植民地主義の過去と向き合わなければなりませんし、対処しなければなりません。ですから、多様な観客それぞれが、このテーマにどのように関わっているのかについて興味がありました。

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――センディヤレヴィッチ監督が影響を受けた映画はなんでしょうか。

私は本当に映画が好きで、影響を受けた作品はたくさんあります。例えば、イングマール・ベルイマン監督の『不良少女モニカ(原題:Summer with Monika)』(1953年)。この映画はニューウェーブ・ムーブメントの真っ只中にあった映画と言われています。そして私にとってはとても感動させられた作品でした。その後、60年代、70年代にかけて、ニューウェーブ映画が数多く登場しますが、それらは全てとても遊び心がある映画で、とても驚かされました。私が最も愛している作品たちです。

また、ユライ・ヘルツ監督の『火葬人(原題:The Cremator)』(1969年)もこの映画にとてもインスピレーションを与えてくれました。ファシズムの狂気に焦点を当てた映画ですが、ブラックユーモアがふんだんに盛り込まれているのです。ファシズムのメカニズムをより理解するために、実に見事な入口だと思いました。とても刺激的でした。

――日本に来たことはありますか。どのような印象をお持ちですか。

日本に行ったことはないのですが、素晴らしい日本映画をたくさん知っています。ですから、日本という国を少しは味わっているつもりです。日本を訪れることは私にとって大きな夢のようなものです。日本映画を見て感じるのは、とても緻密であること。それが日本映画の本当に好きなところです。精密な芸術作品は日本から生まれてきていますし、いつかは訪れて直接見てみたいです。

(取材・文・写真/齋藤彩加)

Image Credit : Courtesy of TIFF

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