もやもやレビュー

リアルな84分群像劇『ほつれる』

『ほつれる』新宿ピカデリーほか全国公開中

鑑賞前に映画のポスターをみた。そこにあったキャッチコピーが「どんな作品なんだろう?」と気になる度をグイッとあげてきた。
『彼女にはなぜ、夫ではない[恋人]が必要だったのか?2人の男の間で揺れ動く心と、夫婦の真実が明かされていく衝撃の84分。』
えっ!? 84分の中に何が詰まってるの?ってなるのは私だけではないはず。

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冷めきった夫婦の絹子(門脇麦)と文則(田村健太郎)。絹子は友達の紹介で知り合った木村(染谷将太)と付き合うようになる。だが、木村は絹子の目の前で事故にあい...。

本作をみて感じたのは、どれだけ心の中で思ったとしても夫婦の会話の中で「離婚」というキーワードを口に出して相手に言うのと言わないのでは大きな差があるということだった。夫からのハラスメントが酷すぎて、誰かに逃げたくなってしまった絹子に同情しつつも、完全に絹子の気持ちに寄り添うことも難しい作品だった。

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映画とはいえ、加藤拓也監督の作品はリアリティが毎回ある。言動が矛盾しているように感じることも多い登場人物にモヤっとするけれど、生きていたら実際正しい行動ばかりとれる人の方が少ないだろう。
そんなリアルが散りばめられている。
だから鑑賞中にチクチクと心が傷むのだろう。頭ではわかっているけれど、やめられない衝動だったり、人間の性ともいえる部分がうまく拾い上げられている作品だった。

(文/杉本結)

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『ほつれる』
新宿ピカデリーほか全国公開中

監督・脚本:加藤拓也
出演:門脇麦、田村健太郎、染谷将太、黒木華 ほか
配給:ビターズ・エンド

2023/日本映画/84分
公式サイト:https://bitters.co.jp/hotsureru/
予告編:https://youtu.be/v5Wg6_apzrk?si=-_xWWxRD3sKLkzsG
©2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINÉMAS

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